ウェルビーイング
サステナビリティ
2023.12.05
お金・学び・仕事を考える「自身の経済・成長」15の視点 ~第2回ウェルビーイング調査より⑥~
- 目次
- 「自身の経済・成長」におけるウェルビーイング指標とは
- 【お金】…貯蓄・投資の知識に自信のない女性
- 【学び】…学ぶ意欲はあるが、学びにつながる行動がとれていない
- 【仕事】…将来のキャリアビジョンが描けていない
- お金・学び・仕事の充足度を上げるために ~小さな一歩を踏み出してみる~
「自身の経済・成長」におけるウェルビーイング指標とは
ASAKO サステナラボ®では、生活者の幸福度や自己肯定感、また独自に開発した「60のウェルビーイング指標™」を用いた充足度の計測など、「ウェルビーイング調査」として年1回の調査を行っています。
「60のウェルビーイング指標™」の概要については、アスノミカタ「ウェルビーイング・マーケティングを具体化する“よりよく生きる”を考える60の視点」の記事をご覧ください。
今回の記事では、「自身の経済・成長」の領域について、指標の詳細や第2回ウェルビーイング調査の結果について紹介していきます。
「60のウェルビーイング指標™」の4つの領域の一つ「自身の経済・成長」は、「お金」「学び」「仕事」の3分野で構成されています。各分野には5つずつの分析要素があり、合計15の指標により、ウェルビーイングにおける「自身の経済・成長」領域に関する充足度を調査・分析することができるようになっています(図表1)。
以下、「お金」「学び」「仕事」の分野について、指標と調査結果を見ていきます。
図表1)「自身の経済・成長」に関する15のウェルビーイング指標
【お金】…貯蓄・投資の知識に自信のない女性
図表2)「お金」の充足度(性年代別 n=2,800)
図表2は、「お金」に関する5つの指標について「非常に当てはまる」「やや当てはまる」の合計を性年代別にグラフ化したものです。
「自身の現在の経済状況に満足している」については、男性は70代・80代で、女性は60代~80代で充足度が高い結果となりました。一方、男性40代・50代、女性20代~50代において、5指標全体を通して充足度が低い結果となりました。
また、性別での比較では「貯蓄・投資についての知識がある」は、男性38.6%に対し女性が23.7%と、女性は男性より14.9ポイント低くなりました。これは、全60指標の中で、女性が男性に比べて最も差が大きい(男性より低い)数値となっています。この指標は、女性の年代による傾向は見られず、女性全体で金融リテラシーについての充足度の低さがうかがえる結果となりました。
【学び】…学ぶ意欲はあるが、学びにつながる行動がとれていない
図表3)「学び」の充足度(性年代別 n=2,800)
図表3は、「学び」5指標についての充足度の結果です。
5指標の中では「学ぶ意欲がある」が男女共43%台と高めとなりました。一方で、「学びにかけるお金がある」「今学んでいることがある」「普段から文化・芸術に触れている」については27~31%台と低くなっており、意欲はあるものの実際の行動にはあまり移せていないことがうかがえるような結果となっています。
性年代別では、男性の40代~60代、女性の30代~50代で全体的に低く、いわゆる「現役世代」で学びへの充足度の低さが目立っています。
【仕事】…将来のキャリアビジョンが描けていない
図表4)「仕事」の充足度(性年代別 n=1,671)
図表4は、「仕事」5指標の充足度の結果です。
全体としては、男性の20代、60代、70代、女性の70代で充足度が高めです。
「職場の人間関係は良好である」については、男女共に充足度が高く、男性49.8%、女性54.9%という結果となっています。
一方で「将来のキャリアビジョンが描けている」が男女共に低く、男性で20.8%、女性で15.1%という低さとなりました。50代に注目してみると、男性(16.3%)、女性(10.3%)となっており、人生100年時代と言われる中、定年を前にしてこれからの生き方・働き方に迷いや悩みを持っていることがうかがえます。
お金・学び・仕事の充足度を上げるために ~小さな一歩を踏み出してみる~
ここまで、「60のウェルビーイング指標™」の「自身の経済・成長」領域を見てきました。
「お金」では女性の金融リテラシーへの自信のなさ、「学び」については男女共意欲があるものの行動に移せていないこと、「仕事」では将来のキャリアビジョンが描けていないことが浮き彫りとなりました。
ここで改めて見ていただきたいのが、「学び」分野内の「学びや自己成長にかける時間がある」という指標です。男性で39.5%、女性は38.6%となっており、「学ぶ意欲がある」(男性43.4%、女性43.0%)に比べて4ポイントほど低いものの、「今学んでいることがある」(男性31.1%、女性30.4%)よりも高くなっています。つまり、「時間がないわけではないが、あまり行動に移せていない」と考えることもできそうです。
何かを新しく始めようとする時、大きな目標を掲げて気が重くなってしまい、結果として行動に移せなかった、というようなことがあるかもしれません。そこで、何かを「小さく」始めてみるのはいかがでしょうか。例えば、寝る前の10分だけ投資についての記事や本を読んでみたり、休日の午後に、興味がある習い事について調べてみたり…まずはそんな小さな「考える時間」「学ぶ時間」を持ってみるのはいかがでしょうか。小さな行動が成功体験となり、自己肯定感や充足度を上げることにつながるのではないかと筆者は考えています。
「第2回ウェルビーイング調査」結果のダイジェスト版については、朝日広告社コーポレートサイト内「ASAKOが解決できること」https://www.asakonet.co.jp/downloadから無償でダウンロードしていただけます。
※当記事で取り上げたデータについては、ダウンロード資料には含まれておりません。あらかじめご了承ください。
その他、さまざまな調査やソリューションの提供を行っております。どのようなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
調査結果について
【ASAKO「第 2 回ウェルビーイング調査」概要】
- 調査目的:
①サステナブル分野における 20 のキーワードの認知・共感
②生活者の幸福度および、日常生活の様々な領域での充足度
について定量的(一部定性的)に把握するため - 調査名:
ウェルビーイングについての調査 - 調査手法:
インターネット調査 - 対象者:
20~80 代の男女、全国(性年代での均等割付) - サンプルサイズ:
2,800 - 調査実施日:
2022 年 11 月 21 日~2022 年 11 月 24 日 - 調査主体:
ASAKOサステナラボ®
- 所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
- また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
- 各記事における最新の動向につきましては、当社までぜひお問い合わせください。
著者プロフィール
プロフェッショナルズリサーチャー、プランナー浅野 優子(あさの ゆうこ)
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- 中小企業勤務者が注目するビジネスキーワードは〇〇
- 中小企業のマーケティング課題は「人」と「デジタル」に行き着く
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