ウェルビーイング
サステナビリティ
2024.02.09
暮らしの安心・安全や住まいを考える「生活環境」15の視点 ~第2回ウェルビーイング調査より⑦~
- 目次
- 「生活環境」におけるウェルビーイング指標とは
- 【安心・安全】…男女共、防災対策の充足度が低い
- 【暮らし】…全体的に充足度が低い男性20代~50代
- 【住まい】…住まい選びは男性が我慢している!?
- 防災と「備えること」について、改めて考えてみる
「生活環境」におけるウェルビーイング指標とは
ASAKO サステナラボ®では、生活者の幸福度や自己肯定感、また独自に開発した「60のウェルビーイング指標™」を用いた充足度の計測など、「ウェルビーイング調査」として年1回の調査を行っています。
「60のウェルビーイング指標™」の概要については、アスノミカタ「ウェルビーイング・マーケティングを具体化する“よりよく生きる”を考える60の視点」の記事をご覧ください。
今回の記事では、「生活環境」の領域について、指標の詳細や第2回ウェルビーイング調査の結果についてご紹介いたします。
「60のウェルビーイング指標™」の4つの領域の一つ「生活環境」は、「安心・安全」「暮らし」「住まい」の3分野で構成されています。各分野には5つずつの分析要素があり、合計15の指標により、ウェルビーイングにおける「生活環境」領域に関する充足度を調査・分析することができるようになっています(図表1)。
以下、「安心・安全」「暮らし」「住まい」の分野について、指標と調査結果を見ていきます。
図表1)「生活環境」に関する15のウェルビーイング指標
【安心・安全】…男女共、防災対策の充足度が低い
図表2)「安心・安全」の充足度(性年代別 n=2,800)
図表2は、「安心・安全」に関する5つの指標について「非常に当てはまる」「やや当てはまる」の合計を性年代別にグラフ化したものです。
5指標の中では「犯罪リスクの少ない場所を選んで住んでいる」が、男性46.1%、女性50.1%と高くなりました。
一方、「防災対策をしている」については男性36.7%、女性38.1%と低く、防災への備えについて充足度が低いことがうかがえます。
性年代別で見ると、5指標とも男女70代・80代で充足度が高く、高年代層の「安心・安全」への意識の高さが感じられる結果となっています。
その一方で、男女共20代~50代での充足度が全体的に低く、特に男性40代・50代、女性では20代が低くなりました。
【暮らし】…全体的に充足度が低い男性20代~50代
図表3)「暮らし」の充足度(性年代別 n=2,800)
図表3は、「暮らし」5指標についての充足度の結果です。
「生活環境」領域においては、「暮らし」分野5指標の充足度は全体的に高くなっています。特に、「住まいの周辺に緑や公園がある」は男性69.0%、女性72.9%、「スーパーなど日常の買い物施設が周辺に揃っている」は男性68.1%、女性71.8%といずれも70%前後となりました。
一方で、「役所・病院・警察署などの施設が周辺に揃っている」は男性40代で、「今の生活環境に満足している」は女性50代で低くなっており、ミドル世代において周辺環境への強い不満がうかがえる結果となっています。
性年代別では、男性の20代から50代の充足度が全体的に低くなりました。
【住まい】…住まい選びは男性が我慢している!?
図表4)「住まい」の充足度(性年代別 n=2,800)
図表4は、「住まい」5指標の充足度の結果です。
「暮らし」分野と同様、男性では70代・80代の充足度が高い一方で20代~50代の充足度が低く、とりわけ40代・50代の充足度の低さが目立つ結果となりました。女性については、5指標とも男性よりも数値が高いという結果になっています。さらに、「価値観やライフスタイルに合った住まいである」は男性48.8%、女性54.7%と約6ポイントの差がついており、男女で同居する場合、住まい選びの面で女性の条件や好みが優先され、男性の不満がたまっているかもしれません。
防災と「備えること」について、改めて考えてみる
当記事では、「60のウェルビーイング指標™」の「生活環境」領域を見てきました。
「暮らし」と「住まい」分野では、女性の充足度がおおむね高い一方で、男性の20代から50代で充足度が低いことが分かりました。住まいを決める時、どんなライフプランを考えているのか、その上で住む場所や家をどう選ぶのか、お互いの納得感を高める話し合いがもっと必要なのかもしれません。
また、「安心・安全」では防災への備えについて充足度の低さが浮き彫りとなりました。2024年1月には能登半島で大きな地震が発生しました。しかし、備えなければならないのは地震に対してだけではなく、台風や大雨による災害、さらには新型コロナウィルスのような危機まで、さまざまな「もしもへの備え」が必要になっています。
最近では、日常時と非常時という2つのフェーズをフリーにする(2つを分けて考えない)「フェーズフリー」(※)という考え方も登場しています。ひとりひとりが防災について考える機会を増やすだけでなく、防災・備えへの行動をどうデザインしていくのかも大切であると筆者は感じています。
※出典:一般社団法人フェーズフリー協会,「フェーズフリーとは」(2024.2.1),https://phasefree.or.jp/phasefree.html
「第2回ウェルビーイング調査」結果のダイジェスト版については、朝日広告社コーポレートサイト内「ASAKOが解決できること」https://www.asakonet.co.jp/downloadから無償でダウンロードしていただけます。
※当記事で取り上げたデータについては、ダウンロード資料には含まれておりません。あらかじめご了承ください。
その他、さまざまな調査やソリューションの提供を行っております。どのようなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
調査結果について
【ASAKO「第 2 回ウェルビーイング調査」概要】
- 調査目的:
①サステナブル分野における 20 のキーワードの認知・共感
②生活者の幸福度および、日常生活の様々な領域での充足度
について定量的(一部定性的)に把握するため - 調査名:
ウェルビーイングについての調査 - 調査手法:
インターネット調査 - 対象者:
20~80 代の男女、全国(性年代での均等割付) - サンプルサイズ:
2,800 - 調査実施日:
2022 年 11 月 21 日~2022 年 11 月 24 日 - 調査主体:
ASAKOサステナラボ®
- 所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
- また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
- 各記事における最新の動向につきましては、当社までぜひお問い合わせください。
著者プロフィール
プロフェッショナルズリサーチャー、プランナー浅野 優子(あさの ゆうこ)
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- 中小企業勤務者が注目するビジネスキーワードは〇〇
- 中小企業のマーケティング課題は「人」と「デジタル」に行き着く
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