新規事業開発 クリエイティブ スタートアップ 地域創生 2024.04.19
生成AI×クリエイティブジャンプ から生まれる 予測不能な時代の新規事業開発のカタチ ASAKO Innovation design lab™

目次
従来のアプローチの限界
なるべく失敗せずに事業を生み出すにはどうすればいいのか?
イノベーション開発 4つのプロセス
“クリエイティブジャンプ”の重要性
イノベーション人材の育成
幸せを共創するパートナーとして

ご覧いただきありがとうございます。
ASAKO戦略ビジネスチーム クリエイティブディレクターの井上征一郎(イノウエ セイイチロウ)と申します。
この記事は、新規事業やイノベーション創出、人材育成などにご興味がある方にぜひ読んでいただけたらと思います。

仕事柄、さまざまな業種のお客様とお会いしますが、「新規事業開発に取り組んでいる」と伺う機会が増えました。企業経営が続いているということは、これまでも新しい事業は生み出されていたはずです。では今、なぜ新規事業開発が注目されているのでしょうか。

ASAKOではこのたび、最新のイノベーション理論に沿って、クリエイティブディレクターと新規事業を共創するソリューション「ASAKO Innovation design lab™」(略称AIDL:アイドル)を開発しました。

AIDLならではの価値観で、これからの時代のイノベーションのカタチとその開発プロセスについて考察します。

従来のアプローチの限界

企業においてイノベーション創出や新規事業開発が盛んに求められています。
既存事業の成熟化、市場の変化や顧客ニーズの多様化、経営リスクの分散、次世代人材育成など、きっかけはさまざまです。


「あなたはこの春、社内の新設部署「新規事業開発室」に異動になりました。
新たな事業を立ち上げて、会社の10年後、20年後を支える事業を創出することがミッションです。
社内の注目度や期待も高く、自身のキャリアを考えても失敗できない。
そのためには、しっかりとしたエビデンスと市場予測に基づいた事業計画を立てないといけません。
早速、市場調査やデータ分析をして、新たな市場機会を見いだすことにしました。
その結果をもとに合理的な数値目標とロジカルな事業計画書を作成して経営層に稟議をとり、資本を投下…」



今まさに、日本中でこういう光景が起きていそうです。

しかしVUCAやBANIと言われる予測不能で変化の多いこの時代※1、実はこのような従来の事業創造アプローチでは対応に限界があると言われています。

※1 VUCAとは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を組み合わせたもので、BANIとは「Brittle(脆弱性)」「Anxious(不安)」「Non-Linear(非線形性)」「Incomprehensible(不可解さ)」の頭文字を組み合わせたもの。いずれも不安定で不確定な現代の社会を、端的に表すキーワードです。

なるべく失敗せずに事業を生み出すにはどうすればいいのか?

そんな予測不能で変化の多い時代に、なるべく失敗せずに事業を生み出すにはどうすればいいのか?

誰もが知りたいこの疑問に対して、サラス・サラスバシーという経営学者が、多くの成功した起業家の観察・分析から独自の思考プロセスや行動パターンを見いだし「エフェクチュエーション」と名付けました。
それは従来のビジネススクールで教えられていたアプローチ(コーゼーション)とは、かなり異なっていました。

エフェクチュエーションを日本語に意訳すると、適応的・創発的アプローチという感じでしょうか。

最初から具体的な計画や目標を設定せず

  1. 自らが持つリソースやネットワークを活用する
  2. 無理なリスクをとらず、失っても許容できる損失の範囲内で取り組む
  3. 競争よりもステークホルダーとのパートナーシップを重視して機会を創出する
  4. 変化やネガティブな出来事にも柔軟でポジティブに対応しながら方向性を定めていく
  5. 未来は予測するものではなく、自分の行動が未来を形作る

頭の中でイメージしたら「オープンで前向きな性格のわらしべ長者」のようです。
…違うか。

イノベーション開発 4つのプロセス

AIDLのイノベーション開発プロセスは、そんなわらしべ長者的…ではなくエフェクチュエーション的なアプローチに、最新のイノベーション理論を組み合わせて構成されています。

プロセスは大きく分けて以下の4つのステップです

  1. 0to1:アイデアを発想する
    自社の強みやリソースを組み合わせ、正しい問いと対話で事業アイデアを深掘りする
  2. CPF:顧客課題FIT (Customer Problem Fit)
    具体的な顧客像(ペルソナ)のインサイトから、解決すると価値を生み出す課題を創出する
  3. PSF:課題解決FIT (Problem Solution Fit)
    顧客の達成したい目的や痛みから、独自の提供価値を見出してビジネスモデルに落とし込む
  4. PMF:製品市場FIT (Product Market Fit)
    最少機能製品を開発して、柔軟に変化しながら市場が受け入れる製品へと成長させる

決して、これから伸びそうな市場だからとか、資金調達が見込まれるから、などの理由をビジネスの起点にはしません。自らの強みを組み合わせて、自分たちらしい事業を小さく生み出し、柔軟に変化しながら大きな成長を目指します。

“イノベーションの父”と呼ばれたシュンペーターは
「イノベーションとはこれまで組み合わせたことのない要素を組み合わせることによって、新たな価値を創造することである。」
と言いました。資本力のある大企業や高い技術力がある企業でなくても、全ての企業にイノベーションを起こすチャンスがあることを私たちに教えてくれます。

“クリエイティブジャンプ”の重要性

ある調査によると、新規事業担当者の86%がビジネスアイディアの発想に課題を感じていると回答しています。その主な原因は「アイディアが属人的」「社内のアイディアだけだと偏りがある」「アイディア発想に時間がかかる」など。

出典:Spready株式会社「Spready新規事業実態調査2023」 2024.1.9     https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000040560.htm

多くの人が苦手と答えたビジネスアイデアづくりに、最近素晴らしい救世主が誕生しました。そう、生成AIです。
誰もが手軽に優秀な生成AIが使えるようになり、難しい質問をしても知的な「正解」をどんどんと答えてくれます。
AIDLのイノベーション開発プロセスでも豊富なプロンプトを用意して、ChatGPTなどの生成AIを積極的に活用します。

しかし一方で、それは「正解の価値」がとても下がっているということでもあります。
今までは「正解」を答える人が優秀と言われてきましたが、そこはもう生成AIが簡単に答えてしまう世の中がやってきたということです。

やろうとしていることは正しいし、間違ってはいない、でもなんかピンとこない。
そう感じることってありませんか。
それは生成AIの出す「正解」がダメなのではなく、そのままではイマイチだということです。その見えない壁を飛び越えるためのキーワードが“クリエイティブジャンプ”です。

AIDL最大の特徴は、クリエイティブディレクターが並走して一緒に事業の“クリエイティブジャンプ”を目指すこと。

「アイデア開発」のプロセスでは、さまざまな業種を担当してきた経験と、業界の常識に縛られない視点からアイデアの本質を捉え、「正しいけどありきたり」からの飛躍をサポートします。

「アイデアを事業プランに発展させる」プロセスでは、ココロを動かすコンセプト開発や、らしさを可視化するブランドデザインなどを通じて、事業の意味や価値を伝わるカタチへと可視化します。

パッと見ただけで良さが伝わる、自分のための商品・サービスだと感じる、ワクワクして面白そうなど“クリエイティブジャンプ”のカタチは様々です。

AIとクリエイティブジャンプの組み合わせでイノベーションの可能性を広げる。
これも経済学者のシュンペーターが言っていた「組み合わせから生まれる新たな価値」かもしれません。

イノベーション人材の育成

では、クリエイターじゃないとクリエイティブジャンプはできないのか?
私はこれまでクライアント企業だけでなく、社会人向けのビジネススクールで何十名もの新規事業づくりをサポートしてきましたが、その経験から言うと答えは「NO」です。

普段からアイデアを考えてカタチにすることがクリエイティブディレクターの仕事なので得意なほうですが(たぶん)、体系立てたプロセスに沿って取り組むことで誰にでもアイデアや事業を生み出すことは可能です。
しかし、それ以上に重要なのは、一過性の取り組みで終わらせず、そこでの学びを身につけて再現性を高めることなのだと思います。

皆さんも会社の研修を受けたけれど、翌日にはほとんど覚えていない…という経験はありませんか?正直に言うと、私もいつもそんな感じです。

出典:アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)資料をもとに作成

学びの定着に関して、ラーニングピラミッドという理論によると、講義形式での受動的な学びは24時間後に5%しか定着しないと言われています。
たしかに、研修を受けても翌日には忘れてしまっているわけですね。

学びを定着させるポイントは、能動的なアクティブラーニングにあります。
チームで学びを共有し、対話することによって定着率が50%まで大きく上がり、自ら実体験をするとさらに上がるとも言われています。

AIDLでは毎回チームでのアクティブラーニングによる学びの定着と、その後も引き続き社内でノウハウや知見を活用できるようになることを目標にしています。
そしてアイデアのピボットやビジネスモデルづくりを繰り返し、模索していくなかでどんどんクリエイティビティが上がっていくはずです。

社内メンバーだけで新規事業開発に取り組んだら、人材もノウハウも不足しがち。
社外(コンサル等)に頼むと規模も大きくなり、社内にノウハウはあまり残らない。
AIDLでは事業アイデアの創出とともに、社内のイノベーション人材育成も両立します。

幸せを共創するパートナーとして

ここまで読んでいただきありがとうございます。
私たちASAKOのパーパス(社会的存在意義)は「コミュニケーションサイエンスで、幸せが循環する未来をつくる」です。
それは自社だけではなく、お客様、生活者、協力会社、社会など全てのステイクホルダーの幸せづくりに取り組んでいくという約束です。

新規事業をつくり、成長させていくには「やらなければいけないからやる」のではなく「やりたいからやる」という思いが一番大事と感じています。
自らの強みや思いを起点に、わくわくしながら未来の幸せを生み出したい、持続可能な成長を共に目指したいと思うみなさんと、ぜひパートナーになりたいと思っています。

  1. AIDLについてもう少し話を聞いてみたい
  2. まずはクリエイティブディレクターに壁打ちで相談してみたい
  3. イノベーション創出に取り組みたいけど何から始めたらいいかわからない
  4. 新規事業開発にいきなりそこまでの資源は投下できない
  5. 既存ビジネスの提供価値を見立て直したい
  6. 社内向けイントレプレナーイベントとしてやってみたい

等どんなことでも結構ですので、まずはお気軽にご相談ください。
お待ちしています。

  1. 所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
  2. また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
  3. 各記事における最新の動向につきましては、当社までぜひお問い合わせください。

著者プロフィール

プロフェッショナルズクリエイティブディレクター井上 征一郎(いのうえ せいいちろう)

この人の書いた記事

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  • #地域活性化
  • #コンセプトメイキング
  • #新規事業開発
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「出典:朝日広告社「アスノミカタ」●年●月●日公開記事」

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