ウェルビーイング サステナビリティ ヘルスケア 2024.07.24
フェムテックって何?  正しい知識で健康な体と社会を作り、 次の世代にバトンタッチしよう!

Copyright (c) 2022 Xavier SalazarReleased under the MIT license
目次
はじめに
自分の体験を伝える
ヘルスリテラシーを高める!
仕事のパフォーマンスにも関わる?
広がるフェムテック
さいごに

はじめに

日本女性ウェルビーイング学会(JWW)ASAKO WOMAN EMPOWERMENT(AWE)が協力してお送りする、ウェルビーイングへの理解を深めるための連載企画(全3回)もついに最終回となりました。今回は、JWW代表の笹尾敬子さんとJWW副代表兼日本フェムテック協会理事で女性医療ジャーナリストの増田美加さん(http://office-mikamasuda.com/)をお迎えして、“生理”と“フェムテック”についてお話を伺います。

生理に関する話題は、最近オープンな場でも少しずつ語られるようになってきました。しかし、社会全体の理解はまだまだ不十分です。また、生理や妊娠、不妊治療、更年期障害といった女性特有の健康課題を解決するフェムテックもよく耳にするようになりましたが、その効果や実用性についてはあまり浸透していません。

そこで、今回は笹尾さんと増田さん、AWEのメンバーに加え、朝日広告社の20代、30代の女性従業員も参加して、生理やフェムテックについて考えてみました。社会で活躍する女性が増える中、さらなる増加と幸せな働き方を実現するためには、どのような取り組みが必要なのか考えていきます。

【参加者紹介】

  1. 笹尾 敬子
    日本女性ウェルビーイング学会(JWW)代表として、女性が生きやすい社会の実現を目指して活動している。
  2. 増田 美加
    女性医療ジャーナリスト。一般社団法人日本フェムテック協会理事。不妊治療と乳がんを経験。当事者視点に立ってエビデンスに基づいた医療情報の執筆、講演を行っている。
  3. 上田 睦子
    ASAKO経営戦略センタービジネス戦略チーム。2018年に40代、50代女性応援プロジェクトAging Gracefullyを立ち上げる。日本中のミドル女性が生きやすい世の中を目指して活動している。
  4. 荒井 貴子
    DXメディア本部新聞部。日本フェムテック協会認定資格2級取得。性別・年齢に関係なく、それぞれが尊重し合い、活躍できる社会の実現を目指している。
  5. 吉川 さやか
    ASAKOアカウントエグゼクティブ。日本フェムテック協会認定資格2級取得。同じ価値観を持った人同士、企業間の垣根を超えて女性が輝ける新たな価値創造を追求している。
  6. 浅野 優子
    プランナー、サステナラボ®研究員。
  7. 齊藤 雅之
    ASAKOアカウントエグゼクティブ。日本の働く女性を少しでも支援できるような取り組みを模索している。
  8. A
    朝日広告社30代女性社員(匿名参加)
  9. B
    朝日広告社20代女性社員(匿名参加)

自分の体験を伝える

女性活躍が注目される中、朝日広告社でも女性従業員の数が増えています。働き盛りの女性は、一般的には10代前半で初経を迎えてから閉経するまでの約40年間、生理と向き合って生きることになります。そして、朝日広告社の女性従業員で47.6%を占める40代、50代になると、今度は閉経・更年期が待ち受けています。

こうした女性特有の健康課題に対応し、女性が働きやすい環境の整備が急がれています。

政府もこの課題に取り組むために、例えば、経済的理由で生理用品を購入できない女性たちの「生理の貧困」を支援したり、相談窓口を設ける項目などを盛り込んだ「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」を策定しました。※1

朝日広告社では、今回の企画を前に、女性従業員に対する生理のアンケート※2を実施しました。結果、約87%の女性が生理痛を経験していることがわかりました。痛みの度合いについては、ほとんどが「中程度」。具体的には、腹痛や頭痛、腰痛などが挙げられ、これらの痛みが日常生活や仕事に影響を与えていることがうかがえます。対処方法としては、市販の鎮痛薬をアンケートでは多くの人が選択されています。また、3人に2人がPMS(月経前症候群)を感じている一方で、女性ホルモンをコントロールするピルを服用している人は3人に1人程度、フェムテック製品を使用している人は4人に1人程度と、ピルやフェムテック製品を選択肢として選ぶ人があまり多くないという結果になりました。

「人前で生理の話をするのは恥ずかしい」と感じる女性もいるでしょう。しかし、自分の体を理解し、不安があれば誰かに相談するというのは大切なこと。そこで、今回の座談会では、最初にそれぞれの生理との向き合い方について聞いていきました。

A(30代):私の場合、ピルを服用しています。服用するようになるまでは、おなかや腰が痛くなることがありました。また、スポーツをしたり、旅行にもよく行くのですが、そのときに試合に影響が出てしまったり、大好きな温泉に入れなかったりするのがとても悲しかったのを覚えています。

B(20代):生理の1週間前から腰に重みを感じます。年に数回は重い症状が出るので、学生時代には早退することもありました。ただピルを飲み始めたきっかけは、生理痛の緩和というよりは、生理前の肌荒れ改善のためです。副作用についてしっかり医師が説明してくださったので不安はなく、前よりも今は肌荒れが落ち着いた気がします。周りではピルを飲んでいる友人も少しずつ増えてきていますが、副作用が怖いという理由で飲めない人が多い印象です。

荒井(40代半ば):生理が始まる前日くらいから頭痛がひどくなるので、鎮痛薬を飲んで対処しています。

吉川(40代半ば):私は腰痛がひどいです。産後は痛みが軽かったのですが、最近はだんだんと重くなってきました。しかも、重さにもムラが出てきたので、少し不安に思っています。頭痛薬は飲んでいますが、ピルは飲んだことないですし、病院にも行ったことありません。

浅野(50代前半):私は一般の人より生理の頻度が高く、3週間に1回の周期で来ていたため、旅行の予定を組むのが大変でした(個人差はあるが周期は25日~38日であれば正常とされている)。また、いつも生理痛と生理後半の頭痛に悩まされ、鎮痛薬が手放せませんでした。この年齢になって生理がなくなり、今はとても幸せです。

上田(50代半ば):私はむくみがひどかったです。PMSの症状でだんだんと太り始めて、生理の前後で大体3kgくらい体重が増えました。しかも生理が終わって、戻るのは半分くらいで、15年間で体重は10kgも増えました。もう生理はなくなりましたが、体重は減らず、高止まりしています。

齊藤(40代前半・妻7歳年上):家で妻と生活していると、生理前にイライラしているのがわかります。そんなときは、とにかく気を使うように心がけています。

笹尾(60代半ば):私は生理の少し前におなかが痛くなることはありました。ただ、寝込むほどではなく、記者の仕事に支障をきたすことはありませんでした。月1回ぐらいの周期で生理がありましたが、更年期の症状が出るまではピルを飲むこともなく、過ごしてきました。

増田(60代前半):生理痛はあったものの、そこまでの大変さを感じませんでした。ただ、40代前半に乳がんになったことで、更年期障害の治療であるHRT(ホルモン補充療法)が行えず、つらい思いをしました(後述)。

参加者の体験から、生理が女性の生活にどれだけ影響を与えているのかがわかります。また、不調へのアプローチには個人差があることがこの座談会でも感じられました。

ヘルスリテラシーを高める!

女性医療ジャーナリストとして活躍する増田さんは、不妊治療をやめようか迷っていたころ、乳がんと診断されました。幸いにも早期の発見で簡単な治療で済んだのですが、更年期治療の一つであるHRT(ホルモン補充療法)※3は乳がんを経験している人は禁忌(使用禁止)とされているため、行うことができませんでした。実際、低用量ピルやHRTに対してネガティブなイメージを持つ方もいるでしょう。まずは、更年期の対処法をしっかりと理解することが大切です。ここではヘルスリテラシーについて考えていきます。

笹尾:更年期症状が現れたとき、婦人科の医師にピルを勧められました。ピルを飲むと体が楽になり、その後も医師と相談をしながらHRTを行っています。

増田:HRTは、更年期障害の治療のファーストチョイスとされています。更年期障害の原因のひとつは、卵巣機能の低下による女性ホルモンの減少です。そのため、代表的な治療の一つに、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)を補う方法があります。一方、ピルには女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの両方が入っており、エストロゲンが含まれる量によって“低用量ピル”と“中用量ピル”などに分けられます。

浅野:私は旅行やイベント時など、生理を一時的に止めるために中用量ピルを使用したことがあります。婦人科で何回か処方してもらっていたんですが、40代になったら血栓症のリスクがあるから出せないと言われてしまいました。

増田:今は、生理をずらしたいなど生理周期をコントロールする場合も低用量ピルが使われています。日本で低用量ピルが承認されたのは1999年と最近のこと。アメリカでは1960年代には使用でき、今では学校の保健室でピルを無料でもらえる国もあるといいます。2024年になっても日本は明らかに後進国で、女性のための健康政策がいかに遅れているかがわかります。

上田:日本でピルが承認されてからまだ20年ちょっとなんですね。

増田:フランスでも、低用量ピルは一般的に使われており、憲法に中絶を女性の権利と明記するなど、さまざまな取り組みが数多く行われています。 

笹尾:確かにフランスは本当に進んでいます。例えば、女性のかかりつけ医は、小さい時から婦人科医です。それってとても良いことで、初経から閉経後も人生が女性ホルモンに左右されることを理解した医師に診てもらえるという点で重要です。また、フランスでは病院でも性教育や生理の話が行われると聞きました。そうすると、そこが普段使いする病院になって、通いやすくなります。女性の健康を維持するための社会的な仕組みが整っています。

上田:なるほど、フランスではそういった状況なのですね。それに対して、先ほどのアンケートでもありましたが、ASAKO女性従業員のピル服用者は3人に1人程度という結果が出ています。3人に2人がPMS(月経前症候群)を感じていると回答した一方で、ピルを服用する人は比較的少ない原因としてピルに対する誤解があると思うのですが、AさんとBさんは普段ピルについて話すことはありますか?

A・B:はい。ピルの副作用について話題になったことがあります。

A:友人の中の一人は、重い生理痛で病院に行ったときに、医師からきちんとした説明を受けて服用を開始したところ、「もっと早くから飲んでおけば良かった」ということを話していました。

B:チョコレート嚢胞になった友人がいてピルを飲むことになった話も聞きました。私の周りには飲む飲まないに関係なくピルに興味を持っている人は多く、姉や友人と情報交換をすることも多いです。

増田:低用量ピルは、副作用を気にする人もいますが、正しく使えば女性にとってメリットの高い薬です。低用量ピルは避妊薬ですが、それ以外にも生理痛や過多月経の軽減、生理周期を規則正しくしたり、貧血やニキビや多毛症の改善、長期服用することで子宮体がん、卵巣がん、良性乳房疾患などのリスクが非常に下がります。※4
重大な副作用としては、肥満や喫煙、高年齢の人には深部静脈血栓症がありますが、1万人のうち年間3~9人の発症頻度です。これは妊娠中の女性が深部静脈血栓症を起こす頻度1万人のうち年間5~20人より少ないのです。※5 また、よくあるマイナートラブル※6 として、服用開始3ヶ月以内に不正出血、一時的な体重増加、吐き気、頭痛などがありますが、これも3ヶ月を過ぎるとほとんどなくなります。

増田:このような女性にとって大切な体や女性特有の病気や健康に関することを私たちは学校教育の中で、教えてもらってきていません。欧米では性教育、ジェンダー教育として学校教育の中に根付いています。「生理とはどういうものなのか」「生理痛を改善し生理をコントロールできるピルってどんな意味があるのか」「妊娠・出産、将来すこやかな赤ちゃんを生むために何をしたらいいのか」「正しい避妊法はどういうものなのか」「更年期とは何か」など、男女一緒に学校教育の中で学ぶ機会がやっと最近増えつつありますが、これまではほとんどなかったのです。

笹尾:確かに、そうかもしれませんね。アメリカの大学生などは、ピルを当たり前のように使っているようですし、自分で使うからこそリテラシーも高まります。生理に対して恥ずかしいという姿勢でなく、情報交換をする友人、『生理バディ』みたいなものを作れば、自分に合った生理の乗り越え方を見つけることができるかもしれません。

浅野:私はピルを服用すると気持ち悪くなっていたのですが、エストロゲンが多く含まれている中用量ピルだったからかもしれません。

増田:そうだったのですね。昔の中用量ピルのイメージがある人は、「ピルやホルモン剤は怖いもの」「生理は痛くて当たりまえ」という感覚があって、中高生の娘たちに低用量ピルを飲ませない、という話もよく聞きます。子どもを持つ親がヘルスリテラシーを高めることは大切ですね。

笹尾:ヘルスリテラシーを高めれば、いろいろな選択肢が見えてきます。ぜひ皆さんには、それらをうまく活用しながら、生理を乗りきってほしいと思います。

仕事のパフォーマンスにも関わる?

ヘルスリテラシーを高めることの大切さを学んだ一同。増田さんはヘルスリテラシーが仕事のパフォーマンスにも密接に関係すると語ります。

増田:実は「ヘルスリテラシーが高い人のほうが、PMS(月経前症候群)や月経随伴症状時における仕事のパフォーマンスが高い」というデータがあります。

笹尾:確かに、「働く女性の健康増進調査 2018」※7でも、生理のときに仕事の効率が下がると答えています。自分の生理をどう捉え、どうやって仕事していくか、しっかりと考えることが大切です。それは本人にとっても、企業にとっても同じです。

増田:「不快な症状が改善したらチャレンジしたいと思う仕事」として、新規事業などのプロジェクト提案や昇進、出張などが挙げられていて、生理が女性の活躍を阻んでしまっているという調査データもあります。ある企業の男性経営者にこのような話をしたところ、女性が活躍しやすい環境を作る重要性に気づいてもらえました。その結果、婦人科受診費用補助や低用量ピルの費用を全額会社が負担する制度を導入することに! こうした取り組みには、男性の理解も欠かせません。

笹尾:知ってもらう取り組みは、とても大切ですね。社内研修では、女性だけではなく、男性も一緒に受けることで、生理に対する女性の思いを知ることができます。どうしても実施が難しい場合は、少なくとも人事担当者や総務担当者など、社内で女性の働き方を考えなくてはいけない立場の人には一緒に受けてもらいたいです。

増田:女性の生理に関連した健康課題が経済に大きな損失を与えていることをご存じでしょうか? 経済産業省のデータ※8によると、生理に関連する生理痛やPMSなどの症状(月経随伴症状)での欠勤やパフォーマンス低下による経済損失は年間約0.6兆円です。ちなみに更年期症状による経済損失は年間約1.9兆円にも及びます。女性特有の健康問題を解決できると、企業や社会全体にメリットがあるということをトップがしっかり理解すれば、日本全体に変化が生まれるはずです。

笹尾:自分自身のヘルスリテラシーを高くして、自分に合った選択肢を選べるようにする。そして、企業もそれをフォローする。そうしていかないと、いつまで経っても女性が生理にまつわる苦しみを我慢しながら仕事を続けることになります。労働生産性の低下や退職は、本人にとっても、会社にとっても良くありません。

増田:低用量ピルやHRT(ホルモン補充療法)は、自分の人生設計に応じて選択するライフデザインドラッグであると言われています。子どもは何人欲しいか、いつ昇進したいか、更年期の時期も元気に働きたいなどの希望を婦人科を受診していれば、医師との対話により探っていくことができます。もちろん全員に低用量ピルやHRTが推奨と言っているわけではありません。でも、自分で選択できる知識を持っておけば、必要なときに力になると思うのです。

広がるフェムテック

最近、話題になることが増えたフェムテック。生理日や基礎体温の記録データを元に、次の生理日や排卵日を予測する「月経管理・妊活サポートアプリ」や、経血や尿を吸収する「吸水ショーツ」など、女性の健康問題をテクノロジーで解決します。このフェムテック市場は、2025年には経済効果が年間約2兆円もの規模になると予測されています。※9

増田:フェムテックという言葉は、日本では2019年ころから広がり始めました。話題のキーワードとなり、女性だけでなく男性も社会全体が注目する言葉になって、多くの人が興味を持ち始めました。そして、フェムテック業界に参入する企業も増え、女性のニーズに応える新たなサービスや製品が生まれてきています。

上田:製品やサービスが増えるのは嬉しいですね。しかし、フェムテックを使うハードルが高いといった声があるのも事実です。笹尾さんと増田さんは、フェムテックを普及するにはどうすれば良いと思いますか?

笹尾:無理に使う必要はありません。でも、ヘルスリテラシーを高めることができれば、自発的に情報を得て、試すようになると思います。そのためには、個人と企業のどちらもヘルスリテラシーを向上させること。その基盤となるウェルビーイングの理念をしっかりと持つことが重要です。

増田:まさにその通りです。ヘルスリテラシーを高めれば、健康行動につなげることができます。
ヘルスリテラシーとは、正しい情報にアクセスする力だけでなく、その情報を理解する力、そして活用する力も含まれます。

笹尾:そうなんです。情報にアクセスする力と、理解する力、そして活用する力。この3つの力が揃うことで、ヘルスリテラシーが高まるんです。

齊藤:なるほど。ここまで聞いていると、ヘルスリテラシーは女性にとって武器のようなものだとわかります。

笹尾:確かに、そういった一面もあります。しかし、男性にも更年期があるように、ヘルスリテラシーが武器になるのは男女の差は関係ありません。また、男性もリテラシーを高めていれば、女性が何をどうしてほしいか、何が必要か、何に困っているか理解し、いざというときに実践に移すこともできるはずです。

増田:今の日本女性は、家庭においても社会においても、健康の核(要)です。その女性がごきげんな生活を送れる環境が整備されれば、男性にとっても、子どもや高齢者にとっても過ごしやすい環境になります。

上田:ちなみに、皆さん使っているフェムテック製品ってありますか?

吉川:私は実際に使ったことがありません。かかりつけ医とか信頼する医師に何か勧められたら使いますが、そもそも婦人科に行く機会があまりありません。

増田:例えば、日本では普及が欧米に比べて遅れていますが、腟に挿入して経血を溜める月経カップはさまざまなサイズや仕様が揃っています。洗って何度も使えるので、環境にも優しいです。

上田:でも、腟トレグッズなどのフェムケア製品の置き場所に困ることはありませんか?

増田:最近は、デザインがオシャレになってきていますよ。腟トレーニンググッズも、かわいい動物の形やカラーバリエーションがさまざまあって、机上にステーショナリーグッズやオブジェのように置いておけます。ちなみに腟トレは、若い世代にも大切です。若い世代に尿もれ・頻尿の悩みが増えてきているのは、昔のように和式トイレや雑巾掛けをしないこともあって、骨盤底筋が鍛えられていないからとも言われていますね。

B:実は入浴中に漏らしてしまった経験がある友人が腟トレをやっているという話を聞いたことがあります。実際にどのように腟トレするのか、どういったメリットがあるかまでは理解できていません。

A:私も実は最近、入浴後の湯漏れが少し気になっています…。それが尿漏れにつながる可能があるという意見を最近聞いたことがあります。

さいごに

ここまでの生理とフェムテックの話を通じて、ヘルスリテラシーを高めることの重要性が皆さんに伝わったのではないでしょうか。最後に、笹尾さんと増田さんに未来に向けてメッセージを語っていただきました。

笹尾:皆さんにお伝えしたいのは、女性も男性も“隠れ我慢”をするのはやめましょうということです。迷惑をかけないように我慢をするのではなく、我慢せずに済む社会を作るためにはどうすれば良いか考えなくては、社会は良くなりません。女性管理職の立場にある人は、過去に“隠れ我慢”をしてきた経験がたくさんあると思います。その苦しみは、私もよく理解できます。しかし、変えることもできます。今取り組まなければ、将来、皆さんの子ども世代が同じ問題で苦しむことになってしまいます。だからこそ、皆さんで声をあげて、少しでも社会を変えていきましょう。

増田:ヘルスリテラシーが仕事のパフォーマンスや人生設計に与える影響をおわかりいただけたと思います。生理痛やPMSなどの不調を我慢して過ごせば、毎日が楽しくありません。大きな病気につながってしまっては大変ですし、自分が望む時期に妊娠・出産することが難しくなることだって考えられます。女性にとって、婦人科医は、自分の体について相談できる一生のパートナーです。ぜひ、今からマイドクターとなる婦人科医を見つけてください。幸い、生理についてみんなで話し合える時代になってきました。つらいことを我慢せずに声を上げることで、女性がより生きやすい社会になります。自分だけでなく、家族にとってもいい環境をつくれます。人生100年時代、健やかにごきげんに過ごすために、今から準備していきましょう。

Copyright (c) 2022 Xavier SalazarReleased under the MIT license

※本記事は、社内アンケートや座談会参加者の経験や体験をもとに構成されております。特定の薬剤や治療法を推奨する意図はありません。

  1. 所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
  2. また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
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「出典:朝日広告社「アスノミカタ」●年●月●日公開記事」

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