ESG
サステナビリティ
経営
2025.01.17
なぜESG経営が求められているのか?ESG経営の進め方を解説!
そもそもESGって何?
突然ですが、皆さまはESGについてご存じでしょうか?
ESGとは、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を考慮した投資活動や経営・事業活動を指します。持続可能な社会の実現のために、近年はESG視点での企業経営が重要視されています。
では、ESG経営とは具体的に何をすべきなのでしょうか。イメージしやすいように、ESGそれぞれの視点で企業が取り組むべき内容の例をまとめてみました。
環境はその名の通り、温室効果ガスや再生可能エネルギー、水資源など環境問題に関する取り組みのことを指します。日本では2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロにすること)を目指すという目標を掲げていることもあり、企業の取り組みの中でも特に注目されています。
社会は、労働環境やジェンダー・人権、地域社会への対応など社会のさまざまな問題に対する取り組みのことを指します。
ガバナンスは、企業が株主をはじめ顧客・従業員・地域社会などの立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを構築することを指します。
企業が長期的に成長するには、この3つの視点を考慮することが大事だという考え方が世界中で広がっています。
なぜ今、ESG経営が求められているのか
ESGが注目されたきっかけのひとつが、2006年に国連で提唱された「PRI(責任投資原則)」。この原則により、ESGを考慮した投資リターンの追求が機関投資家たちの中で広がり始めました。さらに日本においては、2015年に世界最大級の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名したことにより、ESG投資が国内でも拡大しました。
そういった投資の流れもあり、現在ESG経営が目立っている企業は、大手上場企業が多いのが現状です。生活者に影響を与える範囲が大きいので、世間の注目も高いからです。
今回は、企業のESG経営が求められている理由を4つにまとめてみました。
理由❶ESG対応をしないと投資してもらえない時代に
ESG投資自体は上記の通りPRIが提唱された2006年ごろから広まっていましたが、ETFの専門調査機関ETFGIによると、ESG関連銘柄に投資する世界のETFは2023年11月末には純資産残高は約4,800億ドルとなり、2018年末からの約5年間で11倍にも膨れ上がっています。
従来は営業利益などの財務情報が重視されていましたが、環境への配慮や従業員の安全管理やガバナンスの体制も投資の重要な要素になっています。
理由❷義務化が進むサステナビリティ
企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正により、2023年度から有価証券報告書について以下非財務情報の開示が義務化されました。この法律改正により、有価証券報告書を義務付けられている企業の対応推進が急速に進んでいます。
出典:金融庁、「サステナビリティ情報の記載欄の新設等の改正について(解説資料)」、2023年1月31日 https://www.fsa.go.jp/policy/kaiji/sustainability01.pdf
さらに、現在金融庁の審議会では、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の基準に基づいた開示義務付けに向けて対象企業や適用を始める時期などを検討しており、今後さらにESGの開示が細かく指定されていく予定です。
出典:金融庁、「第2回 金融審議会 サステナビリティ情報の開示と 保証のあり方に関するワーキング・グループ(事務局説明資料)」、2024年5月14日 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/sustainability_disclose_wg/shiryou/20240514/01.pdf
理由❸投資だけではない、他にも影響を及ぼすESG対応
ある会社が不祥事を起こした際に、グループの親会社がガバナンスの見直しを求められる事件が起こっています。ESGというと投資家向けのイメージがありますが、このように社会的なニュースに発展することもあり近年はグループ全体でのガバナンスやサプライチェーンマネジメントも重視されています。
また、採用においてもサステナビリティ項目を重視する傾向が強くなっており、採用難や人的資本が注目されている今の時代において、取り組みを軽視できない状況にきています。
理由❹非上場にも広がるESGの影響
ESGは上場企業のみが対応すればいいわけではありません。上記の通り、最近はリスク管理としてサプライチェーンを管理する企業も増えており、ESGの基準を満たしていないと取引を停止されてしまう可能性があります。
また銀行各社がESGを考慮して金利を引き下げる融資手法も出しており、対応していないと金利が高くなる可能性も。
このように、上場非上場にかかわらず、さまざまな視点から企業のESG経営が求められています。
ESG経営をしていく上での必要なポイント
ここからは、実際にESG経営を進めていく上で重視しておきたいポイントをお話しします。大きく以下4つのポイントが挙げられます。
❶経営層が積極的に参加する
❷明確なマテリアリティ(重要課題)を設定する
❸ESG視点を盛り込んだ目標・推進と開示を行う
❹社内にESGの意識を浸透させる
それぞれの項目についてもう少し詳しく解説していきます。
ポイント❶経営層が積極的に参加する
熱意を持ったESG経営の行う企業になるためには、経営トップの積極的関与は必要。ESG課題に関する責任所在を明確化し、社内の推進を後押しします。さらに必要に応じた組織づくりを行い、ESG課題解決を実践するマネジメント構造を確立させることも大事です。
出典:株式会社日本取引所グループ及び株式会社東京証券取引所、「ESG情報開示実践ハンドブック」、2020年3月31日 https://www.jpx.co.jp/corporate/sustainability/esg-investment/handbook/nlsgeu000004n8p1-att/handbook.pdf
ポイント❷明確なマテリアリティ(重要課題)を設定する
マテリアリティとは、企業が取り組むべき重要課題のことを指します。ESGを推進していくにあたり、自社にとってESG項目の何が重要であるかを特定し、マテリアリティに沿った推進・開示を行っていくことが求められています。
ポイント❸ESG視点を盛り込んだ目標・推進と開示を行う
マテリアリティ特定後は、目標範囲を設定してKPIを策定・推進していきます。また、実施した内容は統合報告書で開示していくことで投資活動につなげていきます。
※統合報告書…財務情報と非財務情報を一冊にした報告書。投資家たちが投資に値する企業なのかどうか判断する材料のひとつともされています。
出典:国際統合報告評議会、「国際統合報告(IR)フレームワーク」、2021年1月 https://integratedreporting.ifrs.org/wp-content/uploads/2021/09/IR-Framework-2021_Japanese-translation.pdf
ポイント❹社内にESGの意識を浸透させる
ESG経営を進めていくには、経営層によるトップダウンも大切ですが、実際に実務を行う従業員に意義を浸透させることが重要です。一方的な発信ではなく、従業員一人ひとりが自分ごととして捉えてもらえるように社内を巻き込んでいくことが推進につながります。
これからESG経営を始める方は、今お伝えしたポイントを元にぜひ実践してみてください。
ESG経営を推進・検討している方へ
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回はESG推進の進め方についてお話させていただきました。ASAKOでは、ESG経営を推進・検討している方向けに、ESG経営に関するお悩みをトータルサポートする「ASAKO ESG Solution」を展開しています。
企業価値を高めていくためには、ESGに取り組んでいる背景や想いなどのストーリーを魅力的に発信することも欠かせません。私たちは推進・開示から共感・共鳴を生み出すコンテンツづくりまでを並走し、ESG視点での企業ブランディングを全面的にサポートいたします。
- ESG推進を担当しているが、人手が足りなくて困っている
- ESG経営に関心はあるが、どこから始めればよいかわからない
- 他の企業のESG推進状況を知りたい、参考にしたい
などどんなことでも結構ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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- また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
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著者プロフィール
プロフェッショナルズプランナー戸張 佑麻(とばり ゆま)
この人の書いた記事
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