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2023.01.20
はじめての広告にお金を使いすぎてはいけません!広告で損をしないための二つの方法(後編)
はじめに
中小企業、並びにスタートアップ企業の経営・マーケティング担当の皆様、こんにちは。
関西ソリューションデザイン室の平川と申します。
早速ですが前回は、中小企業・スタートアップ企業の皆様が「広告で損をしないための二つの方法」というテーマの中から、「① 広告会社に広告の相談をしてはいけない」についてお話しをさせていただきました。
広告は最終的な手段(戦術・施策)であり、大切なのはそこに至るまでの「現状把握~課題整理」、そして「誰に」「何を伝える」という戦略設計だということをご紹介しました。
ぜひ皆様は広告会社に「課題」をご相談いただき、広告会社と一緒に「戦略」を設計してみてください。
(まだ前回記事を読まれていない方はこちらから!)
はじめての広告にお金を使いすぎてはいけません!
そして第二回となる今回は、その戦略が固まり、いよいよ広告を実施しようというフェーズに移っていきます。
しかしそこにも大きな落とし穴がある可能性があります!
ということで第二回目は、
はじめての広告にお金を使いすぎてはいけません!
というお話しを、実例を交えてさせていただこうと思います。
それでははじめていきましょう!
これは私が昨年担当した「某ICTツールのスタートアップ企業様」の事例です。
この企業は保育施設向けのICTツールを提供し、創業7年で数十億円の出資を獲得した、いわゆるシリーズDの会社です。
クライアントはいよいよ全国的なセールス強化に向けて、攻めの一手を打ちたいということで、広告コンペ(広告会社複数社での提案ピッチ)を開催。私も参加させていただくことになりました。
当初の与件は「予算 数億円を目安に、TVCMをはじめとした広告プランを提案してほしい」というものでした。もちろん私にとって億単位のプロジェクトはとてもありがたく、気合を入れて参加しました。
が、最終的に私がご提案したのは「数千万円前半のテストマーケティングプラン」でした。
オリエンをいただいた後、
- クライアントの売上に貢献するターゲットを設定
- 他社事例や当社内の類似事例データを収集・分析
- 今の状態で広告を行った場合の、顧客の獲得確度を算定
- ・・・
といったプロセス(上記は一例)を通し、シミュレーションを繰り返しました。
その結果、「今、億単位の広告を実施するのはリスクでしかない」ということが見えてきたからです。
ここで皆様に改めてお伝えしたいこと。
はじめての広告、もしくはマーケティング戦略が作られていない中で、数千万円、数億円といった巨額の費用を広告に投資することはやめましょう!
例えば御社が売られている製品やサービス。
開発・販売をする上で、いきなりフルスロットルではいかなかったはずです。
綿密に計画を立て、リスクヘッジをしながら、スモールスタート。
一つ一つ課題をクリアしながら、徐々に人・お金・時間といった資源の投下を増やしていったと思います。
広告もまさにそれと一緒です。
広告は絶対に成功する魔法ではありません。
ここで広告会社のマーケティング設計の一部をご紹介しましょう。
広告会社のマーケターは、「カスタマージャーニー」や「パーセプションフロー」と呼ばれる、顧客を説得する道筋(シナリオ)を考えますが、その道筋の立て方がマーケターのスキル(強み)の見せどころの一つとなります。
私の場合は「新規事業戦略の設計・実行」に多く携わった経験を強みとしています。
簡単に言うと、
- 商品・サービスの「認知~理解~共感・好感」といった認知フェーズ。
- 次に「ホワイトペーパーのダウンロード・問い合わせ」というリード獲得フェーズ。
- さらにその次に「SQL
※1 ・MQL※2 」といった顧客化フェーズ。 - そして最後の「契約」というクロージングフェーズ。
この全体を見据えたシナリオ設計を私は得意としています。
この観点で仮説設計をしていくと、このクライアントの置かれていた状況は「出口戦略(クロージングシナリオ)」が固まっていない中で、入り口となる「認知フェーズ(広告・コミュニケーション)」を実施しても、砂漠に水、穴の開いたバケツ状態であることが分かりました。
クライアントはオリエンの際、「攻めに転じるぞ!」「他社よりも早くブランドを作るぞ!」という気持ちになっていたのだと思います。
ご担当者様には申し訳なかったですが、その前提・モチベーションを覆し、「もっと小さくスタートしましょう。その効果がしっかり見えた段階で、大きく攻めていきましょう。」という「2段階設計(フィジビリティプラン)」をご提案しました。
私もクライアント様の大切なご予算をお預かりするパートナーとして、費用を1円も無駄にしたくありません。
少々長くなりましたが、このような想い・提案でプレゼンテーションに臨み、嬉しいことにお仕事をいただける運びとなりました。
そこからの進め方は、様々な角度から「誰に、何を、どう伝えたら、どれくらいの売上見込みが立つだろうか」の戦略設計を約3か月間行い、フィジビリティプランの設計・実行を行っていきました。
結論としては、ファーストステップでは数千万円前半のスモールスタートでTVCM・デジタル広告などを実施したものの、残念ながら私もクライアントも思い描いていた効果を達成することができず、セカンドステップは「広告に頼らない戦略・戦術」にマーケティング活動をシフトしていくことになりました。
現在は、獲得に直結する最低限の「デジタル広告」に加え、確度の高いリードを獲得する「セミナー開催」を主戦場に、広告に頼らないビジネスモデルで、売り上げを順調に伸ばされています。
当社にとっては見込んでいた売上が大幅に減ってしまいましたが、クライアントの大切なお金を無駄にしなかったと考えると、私はこれで良かったと思っています。
広告会社として、クライアントからいただく与件(オリエン)というのは、プロジェクト設計をする上で重要な「起点」となります。しかしそこで予算設定を見誤ると、大切なお金を無駄にしてしまう可能性があります。
ぜひ皆様がはじめて広告を実施する際は、リスクの少ない予算設定をし、その効果を確かめながら徐々にスケールさせていくことを心がけてみてください。
そして皆様も良いパートナーと出会え、効率的・効果的な広告で御社のビジネスが成功することを願っています。
いかがでしたでしょうか?
全二回に渡り、「広告で損をしないための二つの方法」というテーマで、
- 大切なのは課題把握と戦略設計。広告をすることを目的にしてはいけない。
- はじめての広告で巨額の広告費を使うことはリスクでしかない。
についてお話しをさせていただきました。
この記事を通して、「適切なパートナー選び」と「確かな広告戦略の設計」、そして「効果的な広告の実施」がされ、御社のビジネスの成功に少しでも貢献できれば嬉しく思います。
私のビジネスマンとしてのミッションは「ビジネス課題を解決する、クライアントのためのパートナー」になることです。
お陰様でこのようなご縁から、長期的なお付き合いをさせていただいたり、別のお仕事のご紹介を多くいただくことができています。
今後も、私が行う「広告を提案しない広告会社の仕事」をはじめ、中小企業・スタートアップ企業の皆様が抱えているであろう、
- 自社にはマーケ知識がないけど大丈夫?
- お金をかけない広告はできないの?
- 広告費用の相場ってどれくらい?
- 自社に体制がないけど大丈夫?
といった、疑問・不安についてお応えしていこうと思います。
乞うご期待ください!
最後までご高覧いただきまして、誠にありがとうございました。
もし当記事でちょっとでも面白いな、ちょっと話しを聞いてみたいなと思ってくださった方。お気軽に当社にお問い合わせをいただき、「平川と話しがしたい」とお伝えください!
皆様とお話しができることを心より楽しみにしております。
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著者プロフィール
プロフェッショナルズプロデューサー平川 慶一(ひらかわ けいいち)
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