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2023.01.13
「コンテンツから考えるマーケティングコミュニケーション設計 –その①:IMCにおけるコンテンツをどう捉えるか?」
1,はじめに
私のキャリア20年は、大きく分けると、最初の5年がデジタルコンテンツ開発、その後5年がデジタル広告のプランニング、その後10年で、デジタルを中心としたIMC・統合マーケティングコミュニケーション(IMC=Integrated Marketing Communicationの略)のプランニングとなっています。
コンテンツ制作と広告のメディアプランニングを両方経験しましたが、広告会社の中で、この二つは分業されていて、両面を同時に具体的なプランニングレベルで考える役割は少ないと感じます。もちろん、プロジェクト全体を統括するレベルの人材は両面を戦略レベルで統合して管理しています。ただ、具体的なコンテンツのアイデアを考えるスタッフが、そのコンテンツに生活者を触れさせるメディアの特性を詳細に理解しているか? といえば、そうではなく、また一つひとつの広告メニューを設計するメディアプランナーが、そこで展開される広告素材のアイデアまで考えているかといえば、逆もまたしかりです。
このことは、最適なコンテンツが、最適なメディア、タイミングでしかるべき生活者に体験してもらうことの難しさ、設計業務の困難さを示していると思います。この、コンテンツとメディアの分業・分断という問題意識を一つの軸にしながら、コンテンツから考えるコミュニケーション設計について考えていきます。
2,コンテンツ-辞書で調べると
コンテンツとはそもそも、何でしょう。何かしらの内容だったり、表現物だったりというのが、一般的に考えられるものではないでしょうか? 辞書で調べてみると、
「1 内容物。中身。2 書籍の目次。3 インターネットやケーブルテレビなどの情報サービスにおいて、提供される文書・音声・映像・ゲームソフトなどの個々の情報のこと。デジタルコンテンツ。」
と、出てきます。やはり、何かしらの中身ということのようです。逆に”中身”ということは、それに対する、外身、外装、ガワがあるということですね。この、外身、外装、ガワは一般的な解釈としては”メディア”ということになると思います。映像コンテンツとDVD(ディスク)。30秒の映像とCM枠などでしょうか。フォーマットと言い換えてもいいのかもしれません。コンテンツとメディアの話は、再度、詳しく触れたいと思います。
広告業界に身を置く我々の視点では、もう少し別の、狭義の意味合いもコンテンツにはあると思います。何かしら人々の興味を惹き、注目を集めるという機能、それを見たり、聞いたり、手にしたりすることに対しての金銭的な対価を発生させる機能をもつ”何か”であるということです。そして、それは金銭的な価値を発生させるということもあります。
3,狭義のコンテンツ
誰かの興味を惹き、心を動かすもの=狭義のコンテンツとすると、「誰かにとって」意味をもつものという、相手側、受取り手側のほうに、それがコンテンツとなりうるかどうかの主導権があるように思えてきます。コンテンツプロデューサーの髙瀬敦也さんは、受け取り手側の期待やニーズに、“それ”がどういう価値をもつかを意味づけすることが、あるものをコンテンツにすることだと言っています。
つまり、なにかをコンテンツとして作り出す時には「誰かにとっての何か」という視点が必要です。作者が思いのままに作るというものでは狭義のコンテンツは成立しないと言えます。当たり前のことですが、コンテンツを考えるのは天才のひらめきやアイデアだけではなく、そもそもの”設計”が必要だということです。(もちろん、アイデアは必要ではあるのですが)ここにコンテンツを中心としたコミュニケーション設計が必要とされる土台があると考えます。つまり、誰か=コミュニケーションターゲットを出発点に、行動や認識の変化を目的として、コンテンツをどう作って機能させるかという”設計”が価値を生み出す土台になるのではないでしょうか。
4,次回に向けて
コンテンツを作るのも、相手=コミュニケーションターゲットが出発点になるという話をしました。この、相手へのまなざしと、その人をこう変えたいという意思が、IMCの企画・設計になっていきます。次回以降は、具体的な企画・設計に対する私なりの考え方を述べていきたいと思います。
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著者プロフィール
プロフェッショナルズコンテンツプロデュース部 部長佐々木 良之(ささき よしゆき)
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