ブランディング
プロモーション
クリエイティブ
2023.02.02
「クリエイティブを思考し、人を動かす言葉を生み出す。」
クリエイティブとは何か
クリエイティブとは直訳すると創造的、独創的と表される。では広告におけるクリエイティブとは何か。それは、目的を達成するために創造的、独創的な視点で新しい価値を生み出すことだと思います。
クリエイターとは、創造主・神をも表す言葉ですが、人は神ではありませんし、0から1を生み出すことはできません。広告には必ず目的や課題という1があります。そこに自分の視点を掛け合わせていくことで、その1が10にも100にもなって、新しい価値や力強いコミュニケーションが生まれます。
視点とは自分の経験だけでなく、父や母からの言葉、友人との出来事、先生の教え、恋や愛、正義感やモラル、スポーツや小説、アニメから影響を受けたことなど、すでにその人の中で備えている内の視点と、商品の特徴、ターゲットの行動データ、SNS分析、市場環境、世の中の情勢や空気、日本や世界、地球や宇宙などを見つめることで発見した外の視点があると思います。これはどちらも大切で、内の視点だけに偏ると自分本意なアプローチになってしまいますし、外の視点だけでは机上の空論に成りかねません。両方が合わさって人を動かすクリエイティブがつくれるのだと考えます。
広告クリエイティブを4つのステップで考えてみる
広告のクリエイティブは①Mission(目的)→②Problem(課題・障壁)→③Creative(新しい視点と価値づくり)→④Execution(表現と実行)の4ステップで私は考えています。
①Mission(目的)
広告の目的です。ただ、言いたいことをそのまま伝えても、人に響くわけではありません。
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②Problem(課題・障壁)
そこで課題を設定することが大切です。目的を達成するためにクリアすべき障壁は何か。ターゲットを見つめて分析し、しっかり考えます。このステップを飛ばすと、成功しないコミュニケーションになってしまいます。
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③Creative(新しい視点と価値づくり)
課題や障壁を見つめた上で、突破できる視点や新しい価値の打ち出しを行います。これがクリエイティブの根幹です。マーケティングでは戦略、コンセプトともいいます。前述したとおり、内なる視点と外なる視点で創り出します。常識を覆し、幸福をもたらすようなアイデアはここで生まれます。制作=クリエイティブと思っている方がいましたら、それは間違いです。新しい視点をもって価値を生み出すのがクリエイティビティの本質です。
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④Execution(表現と実行)
最後に生み出した価値を世の中に伝え、定着させるための表現やメディア、具体策を実行します。
例題です
① Mission(目的)
朝日新聞のカラー印刷が、INCQC(国際新聞カラー品質クラブ)の2012年の国際コンテストで世界192紙の中から1位になりました。これを例にとって世界一の新聞カラーを届けている朝日新聞をアピールし、読者を増やすことをMission(目的)とします。みなさんは、どんなクリエイティブやキャッチコピーを考えますか? 「世界で一番美しく刷られた、朝日新聞を読んでください」とコピーを書いたとします。これで読売新聞を読んでいる人が、朝日新聞を読むでしょうか? もしかしたら世界一のカラー印刷ってどんなものだろうと思い、一度手に取ってもらえるかもしれませんが、定期購読してもらうにはハードルがあると思います。
② Problem(課題・障壁)
Problem(課題・障壁)はないか見渡してみます。他紙も十分な美しさがあり、そもそも新聞読者は紙面の美しさではなくジャーナリズムで選んでいるのではないか、という課題が見つかったとします。
③ Creative(新しい視点と価値づくり)
そこでCreative(新しい視点と価値づくり)が必要になってきます。新聞の色ってなんだろう? その青は? 赤は? 緑は? その赤は、戦争や事故で流れた血の色かもしれません。その緑は、今は茶色く染まった大地の記憶でしょうか。新聞のカラー紙面は、色で溢れる地球の出来事を伝えている。つまり、そこには真実の色でしか伝えられないジャーナリズムがあり、朝日新聞は色で伝えるジャーナリズムにおいて世界一であると考えるとどうでしょう。そこまでこだわる新聞記事なら読みたくなってきませんか? このように視点をもって、新しい価値を生み出すのがクリエイティブなのです。
④ Execution(表現と実行)
最後にExecution(表現と実行)までいきましょう。キャッチコピーは「地球は青い、だけじゃない」。 「あらゆる命のその色までも、精彩に再現する世界一の新聞」と副題を続けます。ビジュアルはこの一年で起こった世界や地球上の様々な出来事を、色の視点で描写します。いかがでしょうか。
キャッチコピーを超えた“パワーコピー”の可能性
クリエイティブの中で、言葉は大切です。言葉によって物事は定義され、心は動き、行動や運動にまで発展します。パワーワードという言葉をご存知でしょうか? パワーワードとはTwitter、インスタグラム、YouTubeを中心にSNSのタイムラインなどで話題になる言葉が、一般的にはそう呼ばれています。辞書で検索すると、強く印象的な言葉を指す、と書かれています。もっと言えば、心に刺さって眠っていたものを目覚めさせてくれるような、その言葉を中心に新たな流行が生まれるほどにパワーをもった言葉だと私は考えます。世を動かした先人の名言などもそうです。
パワーワードを意図的に生み出すことができ、広告のフレーズやSNSでの拡散ワード、戦略PRに共通のコピーとして使用したらどうでしょう? マス×デジタル×リアルをつなぎ、掛け合わせた波及力により、商品の話題化や、新しい流行がつくれるのではないでしょうか。それが“パワーコピー”です。パワーコピーにはポイントがあります。
- 新常識となるような事実を提示している。
- 先天的に人が生まれながらにもっている本能に訴え、気持ちを目覚めさせる。
- 後天的に得た倫理や道徳に合うメッセージである。
- 社会情勢など、世の中の空気に乗っている。
- 言葉に目新しさや独自性がある。
上記のポイントが多く組み込まれていることが、強いパワーコピーになると私は考えます。
前述したクリエイティブの思考法と合わせて、チェックポイントにしていくといいでしょう。
パワーコピーができたら、その商品や競合商品の現状投稿ワードを分析してハッシュタグワードと比較してみることも大切です。TwitterはSNSツールで、インスタグラムはインスタグラム上で検索してトレンド傾向を確認し、ユーザーがどんなハッシュタグを使っているのか、強い潮流があるようなら、その流れを汲み取ることも選択肢です。とはいえ、新しい流行をつくる上でオリジナリティが何より大切です。ハッシュタグとして使う場合でも、まだないものの方が計測しやすいので、キャンペーン時(インフルエンサー投稿時等)は、パワーコピー#、ブランド#、ビッグワード#を混ぜて投稿してもらうなど、使い分けも検討します。先ほどの朝日新聞の例でいうと、パワーコピーは「地球は青い、だけじゃない」となり、この言葉を中心にカラーで溢れた投稿や、流行が生まれたら理想的です。
視点や言葉だけで、ビジネスは大きく変わります。よい言葉をキャスティングすることは、お値段はかからずに、タレントより大きな効果を生み出す場合もあります。何かありましたら、いつでもご相談ください。
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著者プロフィール
プロフェッショナルズ部長 クリエイティブディレクター/コピーライター武田 真介(たけだ しんすけ)
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