プロモーション
CX/DX
2023.02.10
「とくしまバーチャルパビリオン」事例について
ASAKOセールスプロモーション局の最新の事例をご紹介させていただきます。今回は徳島県と講談社IPのコラボが実現した事例となります。案件概要の紹介から、メタバースの押さえるべきポイントまでご紹介させていただきます。
徳島県へのメタバース提案
徳島県は、ITインフラの充実等を進め、サテライトオフィスの誘致を着々と進めている中、IT先進県としての認知、イメージの強化を図り、さらなる事業の拡大と、大阪・関西万博への出展に対する県内の機運醸成、国内外への認知、期待感の醸成を目指している。
そんな中、弊社と講談社がユニットを組む「C-station Biz」の取り組みとして、一冊まるごと徳島県のSDGsの取り組みを紹介する「FRaU S-TRIP TOKUSHIMA」を発行した経緯から、講談社の漫画コンテンツを「とくしまバーチャルパビリオン」でIP活用することに可能性を感じていただき、現地の阿波おどり開催期間にメタバース空間で同時にイベントができないかとの相談を受け、提案に至った。
「阿波おどり」のイベントであることを考慮し、様々な漫画コンテンツの中から、音楽・踊り(ダンス)というテーマが阿波おどりに最もふさわしいパリピ孔明での展開が決定。パリピ孔明の月見英子が、阿波おどりのステージを披露する企画を実施することとなった。
夏の阿波おどり 英子阿波おどりステージ
とくしまバーチャルパビリオンが設置されているクラスターで動かせる英子の3Dモデルに、阿波おどりの踊り手さんのモーションを組み込み、アニメの声優さんの声を合わせることで、英子がステージ上で本格的な阿波おどりを披露する5分程度のステージを8/11~8/15に1日5回展開。ステージ前後には、英子に加え孔明の3Dモデルも登場し、アニメの声優が声をあてた英子・孔明の掛け合いによる徳島県PRを行った。アニメのキャラクターが(2次元の)画面の中から語り掛けるよりも、同じ空間に存在し、目の前で生き生きと伝えるメッセージは、より強力に参加者に伝わったようだ。
また、「とくしまバーチャルパビリオン」で実施したこのイベントの様子は、徳島市内の阿波おどり特設ステージでも公開され、阿波おどり演者との共演も実現しており、県民に対しても自県の文化や、先進的な取り組みに対する自負の醸成にも貢献している。
ちなみに、夏及び秋に実施したステージは、リアルタイムに実施するのではなく、事前にモーション、音声を入れた3Dコンテンツを収録し、それをクラスターのバーチャル空間で公開する形式をとっている。これにより、限りがあるイベント空間の容量を確保し、毎回モーションアクターや、声優をライブに手配する時間・費用等を削減するとともに、展開する音声等のクオリティを担保している。
秋の阿波おどり 夏のバージョンアップ
本格的な阿波おどりの衣装になった英子と、夏には踊らなかった孔明(の3Dモデル)が、シンクロして阿波おどりを披露するステージを11/3~11/4に1日3回、11/5~11/6には、徳島県のリアルイベントでの公開を含め、1日4回実施。二人の阿波おどりの後には、Youtube等の「〇〇がチキチキバンバンを踊ってみた」で人気のアニメ挿入歌「チキチキバンバン」を阿波おどりの衣装の英子が踊るステージを追加。
また、11/6には昼夜2回英子が劇中歌を歌う(歌唱はアニメ歌唱担当の96猫)ライブステージを開催した。
ステージの前後の徳島県のPRでは、徳島県知事のアバターを制作、ご本人の声で徳島県の魅力をアビールしてもらった。
また、秋の展開ではweb3.0における経済活動の実験として、大阪・関西万博に向け公募から誕生した新キャラクター「万博すだちくん」をモチーフとしたNFTをAdam by GMOをプラットフォームに発行、「とくしまバーチャルパビリオン」及び秋の阿波おどりリアルイベント会場の来場者に無料配布を行った。
IPサイドの確認タイミングを早い段階で用意したこと、英子の衣装の変更(表現の負荷になる“揺れ”の削減)等により、調整は順調に運び、夏に比べより充実した、完成度の高いコンテンツとなり、参加者の満足度も高いものになった。
SNS上では楽しかった、盛り上がったとの声とともに
「徳島行きたい」
「徳島県アツいなぁ😆」
「知事のアバターとかあって笑っちゃったw」
「楽しかったです(ノ*°▽°)ノ頑張れ徳島!!」
「メタバースに来て、地方自治地の勢いを感じる。」
「デジタル世界は進化してますね😳」
等、徳島県への好意や、先進的なイメージを感じてもらえたコメントが見られた。
またNHKの全国ニュースをはじめ様々なメディアに取り上げられ大きな反響となった。
メタバースにおけるプロモーション/イベント企画・制作に当たり押さえるべきポイント
☑メタバースの現状を踏まえた目的の明確化
昨今メタバースはホットワードになっており、多くの人が興味を持っているとはいえ、マスが参加してくるのは実際にもう少し先のことになりそう。ただし、2次元のスクリーンでは実現できない、深い濃厚なコミュニケーション、インパクトある体験を提供出来るのがメタバースであり、またそれにより、大きな話題を喚起するチャンスもある。。
現状では広く浅くのコミュニケーションを目的にするよりも、ファンマーケティングや、ファン・エバンジェリストの育成のような、アーリーアダプター層に対する特別なコミュニケーションを目的とする展開に向いており、ターゲットのイメージや、その成果をクライアントとも共有することが必要。
☑メタバース(バーチャル空間)ならではのコンテンツをつくる
メタバース(バーチャル)空間で、イベントやプロモーションを行うことで、距離、時間の壁を越えられるという(いつでも、どこからでも参加できる)基本的なベネフィットは享受できるものの、現実世界と同じこと、実現可能なことを再現するだけではメタバース(バーチャル)空間を活用する意味は少ない。
現実世界ではできない体験、メタバース(バーチャル)空間ならではの体験を創出することが肝要である。
徳島県では、現実世界ではありえない、アニメの登場人物と、同じ空間で遭遇する、徳島県の魅力を彼らの言葉で伝えてくるという体験が、コンテンツの最大の価値になっている。
☑プラットフォームの選定と限界の理解
実施したい内容、ターゲットに応じて的確なプラットフォームを選定することが必要。
特に、いわゆるソーシャルVRといわれる、オープンなプラットフォームを利用するのか、独自に空間を構築するかで、実現できる内容は変わってくる。
独自空間を構築する場合は、比較的自由に実現したいコンテンツを作ることは可能であるが、その空間への誘導等を設計する必要が生じる。
逆にクラスターのようなオープンプラットフォームを利用する場合、プラットフォーム毎の規定や、容量等の制限があるため、その中でできることを考えていく必要がある。
☑リードタイムの確保
メタバース(バーチャル)空間では、当然ながら3Dや360°での制作が基本となるため、平面や一般的な映像等と比較して、制作に掛かる時間が著しく長くなる。また検証・確認の工程・時間もより多くかかることになるため、よりゆとりのあるタイムスケジュールを想定すべき。特に、既存のIPを活用する場合などは、IPホルダー側でも不慣れなことが想定されるため、チェック等により十分な時間を確保することを心掛ける必要がある。
以上事例のご紹介でした。
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- また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
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著者プロフィール
プロフェッショナルズプロデューサー橋本 宏貴(はしもと ひろき)
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