デジタル
効果検証
TVCM
2023.04.19
TVCMがコンバージョン(CV)に与えた効果の検証
CVの時点データが分からないケースの効果検証について
広告の誘導先がリアル店舗ではなくオンライン上にある場合、TVCMのWEBサイト誘導効果やCV効果を測る方法として、最近ではTVCMの出稿時点データとGoogle アナリティクスのサイト流入時点やCV時点のデータを結び付けて分析する手法が一般的です。
(※時点データとは、ここでは分単位のデータを指しています。)
一方、何らかの理由で、サイト流入やCVの「時点データ」を取得できず、「1日あたりのデータ」しか分からない場合、1日あたりのTVCM投下量と1日あたりのサイト流入数やCV数を相関分析や重回帰分析で分析して効果を測ることになります。
今回は、そんなケースを紹介したいと思います。
1日あたりのCVを把握している複合的なキャンペーンの検証
このケースは、TVCMを3回の期間に分けて投下し、アプリのダウンロード(DL)やサイトへの登録(以下「DL等」という)を促すというキャンペーンでした。つまり、同じ意味合いを持つ2つのCVがあり、1日あたりのDL数とサイト登録数の総数は分かるが、時点(分単位)のそれは分からないというケースです。
また、TVCM以外にいくつかの施策も並行して走らせていました。オフラインとオンライン両方のメディア施策のほか、店頭キャンペーン施策も行っていました。店頭キャンペーンは、回ごとに異なる店舗と連携して特典を提供するもので、キャンペーンチラシやPOPを店頭に設置して、そこからDL等を促すという流れでした。なお、TVCM以外の施策によるDL等の数は、QRコード経由で把握できていました。
いくつかの施策を並行して実施していることも前提に、TVCMが直接的・間接的にどれくらいDL等に貢献しているのかを、可視化する必要がありました。
TVCMの効果可視化手法と結果
そこで、大きく分けて
- TVCM投下量とDL等の総数の関係を相関分析
- TVCM投下量と施策別DL等の数の関係を相関分析(TVCMの他施策への影響を分析)
- 全ての施策とDL等の関係を重回帰分析
の3つを行いました。
その結果、いろいろなことが可視化できました。
「TVCM投下量とDL等の総数の相関分析」では、かなり強い正の相関がありTVCMのDL等への影響を確認できたことはもちろんですが、他にもいろいろなことが分かりました。
例えば、特典キャンペーンの内容により成果が大きく変動したこと、ターゲットGRPとの相関を見るとF層(女性)との相関がM層(男性)より高かったこと、CM素材ではより特典を打ち出した素材のほうが相関が高かったことなどが分かりました。また、1日あたりのDL等の数が最大化する適切な投下量も可視化できました。
「TVCM投下量と施策別DL等の数の関係を相関分析」では、具体的な施策名は伏せますが、メディアによりTVCMの影響をほとんど受けなかった施策と、TVCMがあることでDL等の数も伸びる施策の両方があることが分かりました。つまり、TVCMと並行して実施したほうがよいメディア、特にいつ実施しても問題ないメディアが把握できました。
「全ての施策とDL等の関係の重回帰分析」では、各施策の投下量を説明変数、DL等の数を目的変数として分析を行い、1日あたりのDL等の数の推計式を算出しました。つまり、同じ条件下で行った場合、それぞれの施策の投下量が分かれば1日のDL等の数を推測できる式です。
その際、施策は、店舗キャンペーン施策、オフラインメディア施策、オンラインメディア施策と投下量の単位が全て異なっていたため、データの標準化を行い、変数を同列の値として使えるようにし、各施策の影響度を正しく測れるようにしました。
結果、DL等の数の8割以上を推計する式が出来上がり、どの施策が最も影響が大きかったのかも可視化することができました。
これらの分析の結果、キャンペーン間の間隔、TVCMにおけるリーチ設計、1日あたりの投下量、CM素材の内容、TV以外の施策の活用タイミング、キャンペーン内容など、次の展開に有効な複数の要素を導き出せました。
時点データで分析できない、あるいは複合的なキャンペーンでTVCMの影響を把握されたいというケースがありましたら、お気軽に相談いただければと思います。
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著者プロフィール
プロフェッショナルズデータドリブンメディアプランニング部 部長栗林 由美子(くりばやし ゆみこ)
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