パーパス ウェルビーイング サステナビリティ 2023.08.21
「自分自身」を見つめる15の視点 ~第2回ウェルビーイング調査より③~

目次
「自分自身」におけるウェルビーイング指標とは
【心】…日常で過度なストレスにさらされている日本人
【身体】…「食事」「運動」「睡眠」。満たされていない基本の生活習慣
【生き方・余暇】…人生100年時代に50代の谷
「生きる力」を失っている40・50代

「自分自身」におけるウェルビーイング指標とは

朝日広告社では「“一人ひとりのよりよく生きる”を考える」をテーマにサステナラボ®を立ち上げ、さまざまな分野における調査や研究、社会課題の解決に向けた取り組みを行っております。その一環として、ASAKO独自の「60ウェルビーイング指標™」を開発し、2021年11月に第1回、そして2022年11月に第2回ウェルビーイング調査を実施いたしました。「60のウェルビーイング指標™」の概要については、アスノミカタ「ウェルビーイング・マーケティングを具体化する“よりよく生きる”を考える60の視点」の記事をご覧ください。
この記事では、「自分自身」の領域について指標の詳細や第2回ウェルビーイング調査の内容について紹介します。「60のウェルビーイング指標™」の4つの領域の一つ「自分自身」は、「心」「身体」「生き方・余暇」の3分野で構成されています。さらに、各分野に5つずつの分析要素があることで、合計15の指標で、ウェルビーイングにおける「自分自身」領域に関する状態を調査・分析することができるようになっています(図表1)。以下で、「心」「身体」「生き方・余暇」の分野について、調査結果を見ていきましょう。

図表1)「自分自身」に関する15のウェルビーイング指標

参考:「ウェルビーイング・マーケティングを具体化する“よりよく生きる”を考える60の 視点」https://www.asakonet.co.jp/asunomikata/contents/798/0427_yokoo_2/

【心】…日常で過度なストレスにさらされている日本人

図表2)「心」の充足度(性年代別 n=2,800)

図表2は「心」に関する5つの指標について「非常に当てはまる」「やや当てはまる」の2項目合計を男女別にグラフ化したものになります。5つの指標のうちで最も充足度が低かったのは「日常生活の中で過剰なストレスが無い」となりました。男女とも充足度が、40台前半となっており、逆に言うと約6割の人が、日常において過度なストレスにさらされている状況がわかりました。次に、性年代別で見ると、男女とも30~50代の充足度が低く、特に男性40代でその傾向が強いことがわかります。全体的には、男女ともに70代・80代が総じて充足度が高い傾向があり、50代以下との「心」の充足度における世代間の差が顕著となっています。また、「あなたは、ご自身がどんな状態であれば幸せだと感じますか」という設問では「ストレスを感じない生活」「心が穏やかな状態」等の回答が散見されており、精神的な安定や心の平穏を望んでいながら、それが満たされていない現状が浮き彫りになりました。

【身体】…「食事」「運動」「睡眠」。満たされていない基本の生活習慣

図表3)「身体」の充足度(性年代別 n=2,800)

図表3では、「身体」に関する5つの指標について考察します。5つの指標の中で、最も充足度が低かったのは「身体に不調を感じるところが無い」となりました。男女とも充足度が、30台前半となっており、逆に言うと約7割の人が、身体に何かしらの不調を感じている状況と言えます。5つの指標について見ると、男性は30~50代、女性では20~50代の充足度が低い傾向になっており、特に「健康的な食事」「定期的な運動」「睡眠」の3指標でその傾向が強くなっていることがわかります。基本の生活習慣とも考えられる「食事」「運動」「睡眠」の3つの指標について充足度が低い状況は、“一人ひとりのよりよく生きる”を阻む問題であり、早急な対策が必要なテーマと考えられます。

【生き方・余暇】…人生100年時代に50代の谷

図表4)「生き方・余暇」の充足度(性年代別 n=2,800)

図表4は、「生き方・余暇」に関する設問です。5つの指標の中で、最も充足度が低かったのは「将来の目標がある」となりました。こちらの指標については、男女とも20代の充足度が最も高く、年代が上がるごとに充足度が下がる傾向が見られました。ある意味、当然の結果かもしれませんが、年を重ねるにつれて「将来の目標」を失っていく調査結果は非常に寂しいものと言えるのではないでしょうか。また、5つの指標の中では、「望む生き方」「打ち込めるもの」「生きがい」の3指標で70代、80代の充足度が高い一方、40代、50代の数値の低さが目立つ結果となりました。特に、人生100年時代の折り返し地点である50代のタイミングで 「生き方」に満たされない“谷”が訪れることがわかりました。論語では「五十にして天命を知る」とも言われていますが、現代社会の50代とは少し乖離があるようです。

「生きる力」を失っている40・50代

「60のウェルビーイング指標™」の4つの領域の一つ「自分自身」について「心」「身体」「生き方・余暇」の調査結果を見てきました。「心」「身体」「生き方・余暇」いずれの分野でも多くの指標で、いわゆるミドルエイジと呼ばれる40・50代の充足度が低い傾向となっていました。
カナダの心理学者エリオット・ジャックスが作った「ミッドライフ・クライシス」という言葉がありますが、皆さんはご存知でしょうか。「中年の危機」と訳されますが、ひと言で言うと、中年になって迎える初めての「下り坂」なのかもしれません。人生の半ばに入り、体力や気力の衰え、生活環境の変化から人生の進むべき方向がわからなくなるような状態に陥ることを言うそうです。まさに今回の調査結果は、この「ミッドライフ・クライシス」を多くの指標で裏付けた結果となりました。日本の40・50代は、「生きる力」を失っている、残念ながらそう言っても言い過ぎではない状況だと考えられます。
先ほど、「ミッドライフ・クライシス」を「下り坂」に例えましたが、40・50代の人たちはもっと「自分自身」に目を向け、少しでもいいので前に進める新しい「上り坂」を探す必要があるかもしれません。「ミッドライフ・クライシス」を「ミッドライフ・ウェルビーイング」にするために、自分のペースで、自分らしく生きているという実感づくりが求められているのではないでしょうか。

※今回ご紹介した「第2回ウェルビーイング調査(一部抜粋)」については、朝日広告社コーポレートサイト「ASAKOが解決できること」から無償でダウンロードしていただけます。

ASAKO「第 2 回ウェルビーイング調査」概要

  1. 調査目的:
    ①サステナブル分野における 20 のキーワードの認知・共感
    ②生活者の幸福度および、日常生活の様々な領域での充足度
    について定量的(一部定性的)に把握するため
  2. 調査名:
    ウェルビーイングについての調査
  3. 調査手法:
    インターネット調査
  4. 対象者:
    20~80 代の男女、全国(性年代での均等割付)
  5. サンプルサイズ:
    2,800
  6. 調査実施日:
    2022 年 11 月 21 日~2022 年 11 月 24 日
  7. 調査主体:
    ASAKOサステナラボ®
  1. 所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
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著者プロフィール

プロフェッショナルズプランニング・ディレクター横尾 輝彦(よこお てるひこ)

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  • #ウェルビーイング
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「出典:朝日広告社「アスノミカタ」●年●月●日公開記事」

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