するが企画観光局チームインタビュー 地域ブランディングは
日本を豊かにすると感じています。

営業 藁科 剛 (左)、 マーケティング 久利 洋生 (右)

いま、日本の各地で観光資源を活かした地域活性化が進められている。朝日広告社は、静岡県中部地域 5市2町において観光宣伝やイベントの支援などを行う地域連携 DMO「公益財団法人 するが企画観光局」のパートナーとして、デスティネーションブランディングを推進している。そこでの広告会社の役割と可能性についてメンバーに聞いた。

*DMO:Destination Management Organization の略。官民が連携し経営的な視点で「観光地域づくり」を進める法人。欧米などで広がっていたもので、2015 年より観光庁が地域での設立を推進している。

地域の人々にいかに
楽しんで参加してもらうか。

するが地域のブランディングにはどんな風に関わっていますか?

久利 : この仕事における我々のミッションは、するが企画観光局の皆さんの考えやアイディアを形にする最善の仕組みをつくることと捉えています。するが企画観光局の皆さんは、さまざまなアイディアを考えて地域にアプローチされていたので、その取り組みに地元の方たちが参加したくなり、自分たちの活動に自信をもち、人に伝えたいと思ってもらう、そのための場所づくり ( プラットフォーム ) を整えることを提案し設計していきました。

藁科 : 当初は静岡県中部地域の今ある観光資源を再発見し、スポットライトを当てて PR をしていました。そこから徐々に既存のものに対して、するが企画観光局の皆さんがアイディアを提供したり関わられていくことで、新しいオリジナルのコンテンツなども生まれるようになっていきました。

久利 : 日本一の漁獲量を誇る焼津のカツオにスポットを当てた企画はその代表例かもしれません。焼津でカツサンドと言えば “カツオ” サンドというアイディアをするが企画観光局の皆さんが考えられました。新 B 級グルメとして、焼津みなとまつりでお披露目することになったので、ネーミング「日本一の焼津の自慢 絶対負けない勝男さんのかつサンド」やロゴ、メディアにとりあげてもらうための企画などを我々チームで考えていきました。ネームには縁起物のカツオを食べて人生のさまざまなシーンに「勝つ」という意味を込めています。

久利 : SNS やさまざまなメディアに注目されたことで来場者も多く集まり、イベントは盛況であっという間に完売でした。この展開には地元の水産加工会社のシーラックの皆さんの協力があり、焼津の新たな観光資源の目玉としてカツオが注目されさまざまなメディアでも取り上げられたことに、会社の方々をはじめ関係者のみなさんにはとても喜んでいただけました。あまりに好評でしたので、その後東京のイベント出店も果たすプロモーションとなりました。

藁科 : これとは別に「うなとろ対決」もありました。静岡中部の 2 大名産「吉田のうなぎ」と「焼津のミナミマグロ」をガチ勝負させる企画で、それぞれ地元店の職人技を競い合う食フェスを PR するというものです。吉田町と焼津市、この対立構造をいかにプロモーションしていくかがお題でした。

久利 : このプロモーションは” 上手にやらない”” 等身大でやる” ということを大切にしてみました。そうしたらすごく親しみがあって、ちょっと覗いてみようと思わせるものになった。みんなを巻き込むことで、参加する一人ひとりが自分たちのことなんだとちゃんと捉えて、楽しみながら取り組んでいける。 これが地域ブランディングづくりの理想だと思うんです。僕らはそこを重点に考えるようにしています。

藁科 : みんなで参加すると言えば、大道芸のプロモーションもそうでしたね。

久利 : そうそう。あの動画は大道芸アーティストと地元のエキストラのみなさんが大勢で出演しているんですが、一発撮りだったんですよ。全員揃って撮影して、みんなでモニターを見てチェックして。出演者が意見を出し合いながら、タイミングを調整したりどんどん良い内容にしていきました。あれほど一体感のある現場はなかったですね。今まで撮影してて一番いい現場だった !

吉田うなぎ・焼津ミナミマグロ/プロモーションムービー

大道芸ワールドカップ in 静岡 /プロモーションムービー

地域の外へ、内へ、
広がるムーブメントをつくる。

観光地域づくりにおいて、地域の人々のために、そして DMO のために、広告会社としてはどんな立ち位置や考え方が重要になるのでしょうか?

久利 : やはり、地域の人たちをいかに巻き込んでいくかを考えることだと思います。だいたい外のエリアからすれば魅力的に見える良いものも、地域の人はそれが普通のものだと思ってしまっている。それを外に伝えようとはあまり思っていないことが多いんですね。伝えようとしてもやり方がわからない。だからといって、外部の人間が気づき与えたものを、そこに住んでいる人たちに押し付けるようなやり方ではうまくいくはずがありません。するが地域においては地元の立ち位置でマーケティング視点で物事を考えるするが企画観光局の皆さんがいらっしゃいますから、僕らはそこで生まれたアイディアや企画の種をいかにしてゴールに結び付けるか、その戦略を考えていきます。地域にいる当事者が、みんなで自分たちのこととして前向きに考えて参加しやすくする、そしてみんなが伝えたくなるような仕組みをつくっていくことです。

藁科 : 実は私は静岡市の出身で。私の印象では、地元は少し保守的なエリアだと感じています。でも、こうして静岡の中部地域でさまざまな取り組みが行われて、メディアでいろいろ取り上げられ、SNS でも話題になっていると、地元の方にとっても非常に気になりますし、いい波及効果が生まれているのではないかと思います。

久利 : 観光地域づくりに参加しているみなさんは、自分の活動に自信を持って、自分で発信したいと思っていますからね。それが楽しく見えるし、エリアの外側だけでなく内側にも効いてくるんだと思います。

藁科 : 「茶氷プロジェクト」もまさにそう。このプロジェクトはナンバーワンの生産量を誇る静岡茶の魅力を、「かき氷」というカタチで多くの方に親しんでもらおうと 2018 年から始まりました。地元のお茶カフェや製茶問屋さんなどに、静岡のお茶を使ったアイデア「茶氷」メニューを考案していただき、新たな名物をみんなでつくりあげるものです。

久利 : メディアが面白がって取り上げて、静岡の新しい名物になりましたね。するが企画観光局の皆さんとともに取り組んだ中で、これが一番のムーブメントになったと思います。

藁科 : 12店舗が参加され3ヶ月で3万杯以上売れました。中には1時間待ちの行列ができるお店もありました。これが話題となって、2019年は手を挙げるお店がもっと増え、なんと 30店舗になりました。「茶氷フェス」も開催することになり、今後もますます話題になっていくのではないかと期待しています。

地域が元気になると、
日本が元気になると思う。

するが地域の観光地域づくりに 2 年ほど携わって、どんなことを感じ、どんなことをいま考えていますか?

藁科 : 地域のよいところが発信されている状態ができ、人が流動し、経済が活性化され、さまざまな出会いや融合が生まれる。そんな社会がこれからの日本を元気にするのではないかとお仕事をさせていただきながら感じています。

久利 : これは何も、するが地域だけの話ではありませんが、いま日本のどの地域も「課題先進地」だと思います。人口減少、 少子高齢化、後継者不足、観光資源の不在 ...。いろんな課題が東京より先に起きているのが現状です。その中で、観光地域づくりを行う DMO の役割はとても重要です。私自身は、「地方の可能性を引き出したい」とか大上段のことを考えているわけではなく、それぞれの地域が自分のよいところを発信して、他のエリアの人たちが「そこに行ってみたい」 と感じて流動し人と経済が活性化する。それが、普通に日本にとっていいことと感じています。僕らは、広告会社の視点で、「観光地域づくり」を支援していきたいんです。

<クライアントの声>

鈴木杏佳様

公益財団法人 するが企画観光局 / 企画開発部 鈴木 杏佳 様

自分が生まれ育った地域を「観光」の視点で見直してみることは、難しいながらもやりがいがあります。地域の事業者を巻き込んで昨年より始動した「茶氷プロジェクト」は、徐々に認知が広まっていると感じており、事業者さん自身も昨年以上に良いものを作りたい、と意欲的に取り組んでいただけていると思います。朝日広告社の皆さまは、我々のアイディアや企画を 1 人でも多くの人に届けるために、最適な方法を一緒に考えていただいております。特にアンビグラムの茶氷旗は、キャッチ-なアイコンとして SNS 上やメディアでも話題になりました。地域の人や、旅行者に喜んでもらえる企画を考え、根付いていくよう、今後も朝日広告社の皆さまと一緒にするが地域を盛り上げていければと思います。

鈴木香穂様

公益財団法人 するが企画観光局 / 企画開発部 鈴木 香穂 様

お茶や焼津ミナミマグロ、吉田町うなぎ等、静岡にいると当たり前で見過ごしてしまいそうな地域コンテンツを、その特徴、魅力を引き出すように、イベント構築やロゴ、周知方法を考えてくださり、大変心強く、一緒に仕事ができることに感謝しています。企画は地域事業者と一緒に取り組む内容がほとんどですが、面白い企画だった、売上アップにもつながった等の成果から、来年も参加したい、他の事業者も企画に参加したいと言っているといった声が得られ、地域事業者の意識の変化も実感しています。静岡中部というと、まだまだ観光地として候補にあがりにくいのが現状ですが、ASAKO さんのお力添えをいただきながら、今後も地域の魅力を高めていければと思います。

※所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。