ASAKO× 講談社 「C-biz SDGs」ビジネスユニットチーム
インタビュー
SDGs に真摯に取り組む企業の
コミュニケーション活動をともに支えていく。

左から、株式会社講談社 ライツ・メディアビジネス局 局次長 長崎 亘宏、 『FRaU』編集長 関 龍彦、 ASAKO 営業 吉川、マーケティング 横尾

近年、世の中の SDGs への関心は急速に高まり、企業やブランドにはますます SDGs アクションに対する厳しい目が向けられている。企業はいかに社会課題と向き合い、いかに 2030 年のゴールへ向かって社会とともに歩んでいくべきなのか。直面する企業の課題を解決すべく立ち上がったのが、朝日広告社と講談社による新ビジネスユニット「C-biz SDGs 」だ。広告会社と出版社がタッグを組み、企業の SDGs ビジネスをどう支援していくのか。メンバーに話を聞いた。

企業の SDGs コミュニケーションを後押しする2つの力が手を取り合った。

両社によるユニットが組まれた経緯をお聞かせください。

吉川 : 私たちはクライアントと向き合う中で 2030 年のゴールをどうしていけばいいか、SDGs に関する課題やお悩みをいろいろ聞く機会が数年前から増えており、当社としてもどう対応すべきかを考えていました。そんな中、講談社さんと当社雑誌部でそれぞれの SDGs の課題やトピックを話し合い、意志が合致しまして、講談社さんのコンテンツの力と、当社のソリューションで一緒にやっていこうと、2020 年 3 月に「C-biz SDGs」というビジネスユニットを立ち上げました。

長崎 : 我々の背景としては、これまでのいわゆる窓口営業というか、スペースの提供、タイアップであればコンテンツの提供という、型にはまったサービスでは限界があると感じていました。そこで何か次の手がないか模索して作ったのが「C-station」です。これはいわゆる BtoB メディアで、広告主、メディア双方から見たさまざまなコンテンツマーケティングの可能性を追いかける情報ポータルとして 2017 年に立ち上げました。転機としては、2018 年末に関が『FRaU』で一冊まるごと SDGs を特集したことから、「C-station」には爆発的に問合せが寄せられました。

横尾 : 『FRaU』の SDGs 特集はかなり話題になりましたよね。

長崎 : 予想を上回る反響で。当社としてお問い合わせいただいた先に対してソリューション提供するのに、SDGs というテーマは間口が広く、弊社で用意しているメニューだけではお応えしきれないのではないかと。「C-station」には全国各地から問い合わせが来ます。企業もあれば、自治体やさまざまな団体もある。宣伝担当や広報担当者、社長室、CSR、工場の方もいらっしゃる。多様なニーズに対して解決策を一緒に出せるところを探そうと。その中で ASAKO さんはバックグラウンドを含めてこうしたテーマに強いのではと思い声掛けすることに。蓋を開けたら、ASAKO さんでは SDGs に特化したユニットもすでに組んでおられ、SDGs に関する企業のコミュニケーションビジネスの実績もある。とんとん拍子で協業への準備が進みましたね。

吉川 : そもそも関編集長が『FRaU』で SDGs を特集しようと思ったきっかけは何だったのでしょう?

関 : 私は講談社に新卒で入って 30 数年、ずっと女性誌を担当しファッション、ビューティ、エンタメの世界を発信してきました。それも好きなんですけど、何か社会のためになることをできたらいいなという思いはずっとありました。東日本大震災直後に、台湾から大規模な義援金が寄せられたことに対し、「ありがとう、台湾!」という特集を組んでお礼の号を作ったら、台湾から観光貢献賞をいただけて。女性誌のジャーナリズムにもできることがあるんだとあらためて感じましたね。北風と太陽でいえば、“太陽のジャーナリズム”。今回の SDGs もそういうマインドですね。SDGs というものに出会って、これも女性メディアとして取り組んでみたいなと思ったんです。

横尾 : 「C-biz SDGs」が生み出すコンテンツ開発の一つに、写真家のレスリー・キーさんを起用したものがあります。以前、レスリーさんとの打ち合わせの中で、関さんは「SDGs って難しいものかもしれないけど、顔をしかめながらやるんじゃなくて、ハッピーにやりたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

関 : ハッピーじゃないものは長続きしないですからね。そして、取り組んでいる人自体もハッピーじゃないと。

SDGs アクションに求められるのは
「報告とコミュニケーション」。

いま、SDGs に取り組もうとする企業を取り巻く環境はどう変わってきたのでしょう?

関 : 日本を代表する大企業が次々に SDGs 宣言し、そうしてまわりの企業も追従していく。ここまで来たなっていうか、状況は変わったなと思いますね。約束することでその責任から逃れられなくなりますから、勇気が必要だと思うんです。どの企業も始めなきゃと思っている。私たちはそのスタートのところだけで相談されることもありますが、取り組みをしたからおしまいじゃなく、伝えることが重要なので、「始める」「伝える」その2つのところでお手伝いすることも増えてきました。メディアとしては、「伝える」の先にある何かしら人々の行動変容につなげるように注力していきたいですね。

横尾 : クライアントはもちろんリクルートもそうですし、「SDGs の取り組みをしているか」という目で見られるので、当社でもサステナビリティ方針を作って担当チームも編成し、社内での意識も高まっていました。私は特にマーケティングの部分、入口戦略のお手伝いをすることが多いのですが、SDGs アクションはやっぱり理解だけじゃなく、コミュニケーションのアウトプットのところ、出口戦略をしっかりやらないといけないと思っていたところに、講談社さんとの話があり、こうしてビジネスユニットを組ませていただくことになりました。そうした出口戦略で、このユニットの力を融合させて、企業の SDGs ビジネスに貢献していきたいですね。

長崎 : つい 3 年前、『FRaU』の SDGs の話を広告会社に案内しても、CSR やメセナの類という惜しい誤解みたいなものが随分ありました。SDGs をマーケティング的に解釈することに躊躇していたんですね。でも、世界的に関心が高まっているのに、マーケティング活動に SDGs の出口を落とさない限りはインパクトも少ないし、ビジネスにならない。どう処理したらいいのかという迷いが広告業界にはあったように思います。それが、コロナの世の中になったことでソーシャルという意味合いは強くなった。世の中のことを考えることがど真ん中に来たんですね。『FRaU』2021 年 1月号なんてものすごく分厚く、200 ページ以上にもなった。これはマーケティングの歯車がかみ始めたということ。プリントメディア全体が冬の時代でこのボリューム。世の中の関心とマーケティングがようやくマッチし始めたと思っています。

関 : ちょっと前まで、「広告会社は SDGs には向かない」と言っている広告マンもいました(笑)。

吉川 : マネタイズするのに難しいと思われていたんですね。SDGs Compass のステップ5「報告とコミュニケーションを行う」ことが大切なのに。このビジネスユニット「C-biz SDGs」の役割はまさにその部分。企業のサステナブルな取り組みをしっかり生活者に届けていきたいですね。

横尾 : もちろん、企業や団体が “真摯に” SDGs 活動に取り組んでいることが前提ですが。

関 : そこは難しいですよね。我々も悩ましいところで。SDGs に取り組んでいるように見えて、実態が伴っていない「SDGs ウォッシュ」だと指摘されるところも中にはあります。企業側としては悪気はない場合もあるかもしれませんが。そこは線を決めるのが難しい。ちゃんと会って話して、確かめたり。最後はアナログな判断になるのかもしれません。

ビジュアルの力で
人々の心を、世の中を、動かしていく。

新ユニットはどのような活動をはじめているのでしょう?

長崎 : これは個人的な理想も含め、仕事の中でチャレンジしたいことなんですけど、出版社にとって雑誌の編集長は絶対的な存在。ゼロからイチを生み出すのですから。経営のトップもその意見を尊重する存在なんです。とはいえ編集長もこれからの時代を考えた時に、いろんな作り手とのコラボレーションが重要になってくる。クリエイティブの分野で編集長と広告会社のクリエイティブディレクター(CD)との協業は面白いんじゃないかと。編集長と CD は立ち位置、価値観が違うので、協業することで新たな威力が生まれるかもしれない。そうしてセッションしていく中でいろいろ浮かんだアイデアが形になりつつあります。ASAKO さんが掲げている「Visualize SDGs」というコンセプトには全員一致で賛成でしたね。企業のパーパスにフォーカスしたものを、しっかりビジュアライズすることが生活者に向けたコミュニケーションで大事なことですから。

横尾 : SDGs は難しいと捉えられるかもしれない。だからわかりやすく伝えて、企業のみなさんの志を感じてもらいたいですよね。その点、編集長と当社の CD ともつながりのあった写真家レスリー・キーさんを起用した企画はカギになる。SDGs を動かしているのは一人ひとりの人ですから。人にフォーカスしてその生き生きと前を向くハッピーな姿を伝えることが非常に有効だと思います。

吉川 :以前、関さんは「女性誌で SDGs をやるなら難しく伝えるんじゃなく、デザインの力で伝えるのが使命」だと。そこは私も共感しました。ASAKO も「Visualize SDGs」を打ち出しています。取り組みを見える化して、ビジュアルで感じてもらうことが大切ですね。

関 : レスリーの写真からは見るだけで伝わるものがある。だから延々と誌面にテキストを掲載するのではなく、あとは QR コードで展開すればいい。女性誌に求められるものは夢や新しさや美しさですから、読者に受け入れられやすいデザインに仕上げたつもりです。

メンバーのみなさんの今後の意気込みをお聞かせください。

横尾 : 今までマーケティングに携わってきましたけど、世の中の社会課題が変わってきたことを感じています。こう して講談社さんやクライアントと話をしていく中で、勉強になることが本当に多く、いい機会をいただいたと思っています。私としてはこの取り組みを活性化して、クライアントと寄り添って SDGs コミュニケーションを広げていきたいですね。それが広告会社としての SDGs にもなると考えています。

関 : 4月19日に SDGsムックを出します。テーマは「未来につながる新しい働き方」です。コロナの影響で働き方がいろいろ変わりましたが、そうした会社を取り上げるだけでなく、新しい働き方をサポートする企業も取り上げますので、世の中の企業すべての方に関心を持っていただき、一緒に作っていきたいですね。今後は、全国の「SDGs 未来都市」の活動や、大企業だけでなく無名な会社でも取り組みが素晴らしいところを吸い上げて社会に役立つ発信をしていきたいと思います。

長崎 : 2021年1月20日に第一回のオンラインセミナーを ASAKO さんとともに開催しました。早速大きな反響をいただいています。SDGs ビジネスのヒントをご紹介するこうしたウェブ商談機会は今後も開いていきたいですね。それと、これはずっと思っているのですが、海外にはソーシャル課題を解決する格好いいキャンペーンが多い。でも日本ではまだあまり見られない。ソーシャルイシューを日本のやり方で、マーケティング活動を通して解決できないか。日本の SDGs にこだわりたいですね。そこは ASAKO さんと解を探していきたいと思っています。

吉川 : SDGsのプロジェクトは BtoB の仕事なので、どこか大きいところを見がちです。でも、企業が取り組んだことは生活者に伝えられる。生活者一人ひとりが本当に自分ごととして見て行動してくれないと 2030 年の達成は難しいと思うんです。私も子どもとはシャワーを使いすぎないようにとか、食べ残しはしないようにとか、SDGs について話し合い、暮らしの中で取り組むことがふつうになってきましたが、こうした話をすることで私自身も再認識したり子どもたちにとっても気づきになるんですよね。企業が伝える先にはまさにそういった生活者がいる。SDGs コミュニケーションを考える際は、ちゃんと人の生活というところを見ながら考えていきたいと思っています。

※所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。