事業紹介

チーム

データ収集・解析・法的ハードル・持続性など、あらゆる課題に応える専門チームがあります。

ASAKO
データプライバシー・
コンサルティングチーム

広告会社初、技術と法律の両面からデジタルマーケティングを支援するサービス。

左から、ASAKO マーケティング 宍倉、TMI プライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社 代表取締役 大井哲也氏、ASAKO マーケティング 服部

近年、データを活用するデジタルマーケティングが進む中、欧米の GDPR(EU 一般データ保護規則)や CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といったデータ保護の法規制が強化され、日本でも 2020 年 6 月に改正個人情報保護法が公布された。朝日広告社はその流れを見据え、データの収集と利活用について法律と技術の両面から企業をサポートするために、TMI プライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社と業務提携。広告会社とデータプライバシーに特化したコンサルティングファームが連携するサービスを開始した。メンバーに新サービスの役割と展望を聞いた。

改正個人情報保護法はすべての企業が迎えるターニングポイント。
—— まず、両社が提携し新サービスを始めることになった背景からお聞かせください。

服部今や生活の中ではさまざまな局面でデジタル化が進み、技術革新によって企業が取得できるデータが増えています。企業は商品やサービスを向上させブランドロイヤルティを高めるために、そうしたデータをマーケティングに活かしたいというニーズが増えています。一方で個人データの利用を規制する動きが世界的にも、もちろん日本でも進んでおり、どのようにデータを管理しマーケティングを実行するか、これが企業の課題となっているのです。

宍倉それに応えるために、大井先生らデータプライバシーに特化した法律コンサルティングファームの力が必要でした。データ収集・利活用の技術とマーケティングを支援する ASAKO に、個人データやプライバシーの保護とセキュリティ管理を得意とされる TMI さんの力が加わったわけです。

大井私はもともとインターネットテクノロジーが専門分野の弁護士で、アプリのマーケットが拡大する中で生じる法律の問題にあたってきました。例えばアプリから取れるユーザデータやサイトで収集できる Cookie データをどうやって活用するのか、どう安全に管理するのかといったデータの利活用とセキュリティの両面から法的なアドバイスを行ってきました。その中で5年くらい前からでしょうか、ご相談が増えてきたのは DMP(データマネジメントプラットフォーム)というネット上に蓄積された様々なデータを管理するプラットフォームの領域です。DMP サービスを始めたいというベンダーさんからの相談や、DMP に顧客データを預けてよいのかというユーザさんからのご相談などがあり、今の会社はそうしたニーズの高まりを感じたことから立ち上げました。

—— やはり、多くの企業がデータの管理や利活用について悩んでいるケースが多いのですね?

大井ええ。企業としては大切な顧客データを DMP で管理して、特にターゲティングをするようなマーケティングに利用していいのかという懸念、不安は高まっており、企業の経営層の方々から多く相談が寄せられますね。個人情報保護法というのは、実務で問題だった点を法律の規制にルール化するという側面があります。まさに個人情報保後法もデータ活用の産業領域の拡大によって、そこに追随する形で法規制が追いかけていくかたちです。日本は残念ながら実務が先行して法律が後追いでできていく。実務が先行して何が起こったかというと、漠然とした不安感があったんですね。データを本当に使っていいのか、顧客の情報を安全に利用できるのかという怖さ、不安感が DMP ベンダ-にもユーザーにもあったのです。それは明確なルール、明確な線引きがなかったから。それを後追いでルール化することになり、今年まさに Cookie データの取り扱いに関して重要な法改正がなされました。施行は2年以内ですが、この改正がなされたというのは企業にとってターニングポイントになると思います。

宍倉今回の個人情報保護法の改正では、他にも『適法の範囲内でデータ利活用を行っていても、個人からの請求があった場合は利用停止/データ削除を行わなければならない』という内容が盛り込まれました。データの利活用を拒否した個人のデータに関しては、今後マーケティングに活用しない、もしくは削除するという対応を自動的に行う環境構築が必要になります。これは、顧客のデータを持つすべての企業に当てはまる話です。

増えゆく顧客とのデジタル上の接点に、精度の高いマーケティング施策を打つ方法。
—— サービスの内容と両社の役割について詳しく教えてください。

服部企業が収集できるデータとしては、Web サイトの閲覧データや位置情報データ、購買データ、IoT データなど様々あります。そのデータを Cookie ID や広告識別子などのデータをキーに名寄せすることで高度な分析が可能になり、効率的なマーケティングができるわけですが、そもそも企業の中では様々なデータを各部署でバラバラに管理していることが多いと感じています。まずはそうした散在するデータを可視化して整理する「データマッピング」が本サービスの最初のステップになります。

大井化粧品メーカーを例に言えば、自社のオンラインショップやアプリからはユーザデータが取れる。口コミサイトからは使用感などレビューが集約されており、百貨店の POS データからはどの店舗でどの商品が売れたのかがわかる。これらを統合し一気通貫でまとめれば、ユーザが何を考えて買ったか、どういう使用感、感想を持っているかをトレースできるんです。散在していたデータを可視化することで、カスタマージャーニーが見え、精度の高いマーケティング施策を立てることができるわけです。

宍倉その過程においては、取得しているデータを社内の別のデータや外部のデータと統合してよいか、許諾が取れているのかという法律的な観点でしっかりチェックする必要があります。技術的にできることでも許諾が取れていないケースもありますので、そこを TMI さんと連携してコンサルティングしていきます。ASAKO はその上でデータ利活用の技術的なサポートを行います。

—— このサービスは顧客データを持つすべての企業が対象になるわけですね?

大井はい、BtoC のビジネス全般です。特に、いま一番課題を持たれているのはコンシューマービジネスでありながら、顧客データを持っていないメーカー。実は大手企業でもこの課題を抱えているところは多いです。お客様と直で対面しているのは百貨店やコンビニだったりします。お客様商売でありながら、顧客の生のデータを持っていないことがあるんですね。まずはデータを収集することから始めるお客様もいらっしゃいます。逆に小売店の方は豊富な購買データを持っているけども、豊富すぎてどう活用していくか、打ち手をどう実行するか悩む企業もいます。

服部最近はデジタルトランスフォーメーションが世の中の流れになっていますし、新型コロナウイルスの影響もあって4、5月は対面でのビジネスよりも EC が活況でした。今後もメーカーが消費者と直接デジタル上での接点を持つ機会は増えていきますよね。つまり、デジタル上で取得できるデータが増えていくことになります。

大井補足すると、リアル店舗、オフラインの世界もデジタルに置き換え変えましょうという流れが活況です。例えば会員アプリ。店舗のレジで取れるデータは POS データだけでしたが、会員アプリを発行することで、どんな属性の人がその商品を買ったかデジタル化され、メーカーや小売店が持てるようになりました。こうした流れを感じてか、最近は経営層の方々から「ウチの持っているデータを活用しよう」「データ活用推進室をつくろう」というトップダウンを受けて相談されるケースも多くなっています。

透明性をもったデータの利活用で、生活者と企業がともに持続可能な社会へ歩めるように。
—— このサービスを通じて、みなさんが企業に社会に向けて伝えていきたいことは何でしょう?

大井我々弁護士は、通常この領域には関わらないんです。マーケットのニーズは高いですが、業界内のカテゴリーとしてはマイナー。本来はなるべくビジネスとは逆のサイドにいてブレーキをかけることが多いのですが、それだと社会のニーズに応えていないというのが法律業界に見る私の課題でした。そうしたビジネスの推進役になりたい、ビジネスに深いところまで関与したいという想いがありまして、今回スピード感もあるご提案をいただいた ASAKO さんとの提携につながったのです。顧客に対してデータの透明性をもって、企業のマーケティング活動をともに支援していきたいです。

宍倉「自分のデータを勝手に使われてしまった」と生活者が感じてしまった瞬間から、その企業への好意度は大きく下がります。ブランドロイヤルティの低下や製品離れに繋がるだけではなく、いまは SNS での拡散などで大きな企業ダメージを負う可能性もあります。生活者から共感を得て、持続可能な企業活動を行うためには「利活用するデータの透明性」が一層求められている。そこに私たちのサポートが活かせたらと思っています。

服部消費者も納得したかたちで個人データを企業に渡す。それを企業は価値に変換して、商品やサービスの質を向上することによって、消費者や社会に還元する。そんなサーキュラーエコノミーを推進する一助になれたらと思います。

提携企業 代表

TMI プライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社 代表取締役

大井 哲也氏

2001 年、弁護士登録。TMI総合法律事務所パートナー弁護士。IPO、企業間紛争、クラウド、インターネット・インフラ/コンテンツ、SNS、アプリ・システム開発、アドテクノロジー、ビッグデータアナリティクス、IoT、AI、サイバー・セキュリティの各産業分野における実務を専門とし、ISMS 認証機関公平性委員会委員長、社団法人クラウド利用促進機構(CUPA)法律アドバイザー、経済産業省の情報セキュリティに関するタスクフォース委員を歴任。2019 年、TMI プライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社を設立、代表取締役に就任。

※所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。

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